今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

夜明けの祈り


キリスト教じゃないので、教会とか修道女とかのイメージがよく分からない。でも、戦時中の実話で修道女ゆえに追い詰められていく女性の話だと聞き、これは観ておこうと暑さに負けず、劇場へ。


夏休みを当て込んだ派手な大作映画が次々と公開になっている中で、なんとも地味だ。でも、絶対忘れてはいけない「歴史」が語られている。


第二次大戦末期、ポーランドを占領下に治めたロシア。その兵士たちが本来越えてはいけない人間としての規範を打ち破り、守るべき人々を陵辱する。


彼らの蛮行で修道女たちは信仰上の重い枷に苦しみ、心が壊れていく。日々膨らんでいく腹部に宿る命の重さやその意味に彼女たちは自分の罪を必要以上に重く受け止め、身動きが取れなくなってくる。


こうした現実に悩んだ若い修道女が赤十字の建物を訪ねてくる。そこで出会った女医は彼女が必死に祈る姿に何かを感じ、修道院をひっそりと訪ねる。


修道女たちの置かれた現状を知り、必死で手を貸そうとする女医の行為は、信仰を貫き通そうとする修道院の院長の考えとはかけ離れている。


信仰を理由とする院長の頑なさと人の命の重さを主張する女医。どこまでも平行線を歩むかと思われたが、修道院を守るため、修道女を守るために女医は驚くアイデアを持って、修道院の未来に光を当てる。女医の目の光の強さに希望が持てる。人の出会いとは深いなぁ。。。


戦時下というシビアな現実の中で起きたおぞましい事件を声高に糾弾するのではなく、その地獄のような苦しみの中から、希望を見出す女性達の生き様を落ち着いた静かな視点で追っている。


最近、かの大戦時の隠れたエピソードが映画となって世間に知らされている。様々なエピソード、様々な苦悩。それらは全て戦争の悲惨さを物語る。


そして、実話こその重みは人々の眼を開く。