今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

犯罪小説集


先日、WOWOWで映画「怒り」を見た。もちろん原作も読んだけど、申し訳ないけど、映画の方が圧倒的に良かったな💦「悪人」とは大違い。あっちは原作の方が良かった。あくまでも個人的感想ですが。。。


それらの原作者、吉田修一さんの本を久しぶりに読みました。全部じゃないけど、結構読んでる作家さんだ。でも、作品によって、受ける印象が全然違うんだけど、私だけかな。


「犯罪小説集」吉田修一著(角川書店)
以下、感想。。。

















「小説集」というタイトルから分かるとおり、短編集。最近は長々読むのが辛くて、サラッと読めるものか、短編集がお好み(^_^;)


確かに短編集だから、時間的にはサラッと読めたけど、なんだか、よく分からないお話が並んでた(^_^;)あくまでも個人的感想です(^_^;)


犯罪小説というタイトルからして、確かに犯罪について書かれてるんだけど、罪を犯す場面ではなく、罪を犯した人を取り巻く状況だったり、その犯人の身近な人から見た日常だったり、直接の犯罪描写ではない部分でヒタヒタと迫る「その日」を描く。


吉田修一さんの小説ってそういう描写というか、展開が多いように思う。その人のまわりの人が語り部だったりね。


それで、緊張の糸が途切れる瞬間までを描く。


犯人や主人公の本心は小説を読むこちら側が想像するしかない。まぁ、それが面白いのかも。


1つの出来事も、それに関係する人の目線や思いは様々だ。こっちは良かれと思ってやったことが、相手は大変不愉快だったなんてことは世間でもよくあること。


でも、私たちは自分の視点こそ正しいと思ってるから、それが思うように受け止められないとその相手との距離を遠ざけてしまう。そこを乗り越えて、向き合うのはよほどの関係性が無いと無理だ。


相手の立場に立って考えるって、結構難しいから。


その様々な視点から見た話を並列できるのが小説の良いところ。1人の頭で様々な視点で平行して考えるって、相当冷静で優秀な人じゃないとダメだと思うし。


なかでも、「万屋善次郎」は、ちょっとした行き違いで大事件に発展してしまう現代の危うさを描いてて、背筋が寒くなった。お互い、相手の立場に立てなかった結果の惨事。


自分1人の視点にこだわることの恐ろしさを痛感する。フラットな心持ちでいられる人間になりたいけどね。。。


最後に蛇足ながら。。。映画「怒り」。宮崎あおいの演じた愛子ちゃんは原作から飛び出て来たような。やっぱり凄い女優さんだ。豪華キャストだけど、他が霞んで見えるほどだった。