今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書


実話ベースの映画は、結果が決まってるだけにドラマチックな展開にならず、暗澹たる気持ちでスクリーンを後にすることが多々あるが、本作は、実際の結果もドラマチックで、ついつい感動して涙が流れてしまった(汗)


トム・ハンクスメリル・ストリープというハリウッドの代表選手(笑)の共演、それを演出するのがスピルバーグという、名前だけでお腹いっぱいという感じたったけど、脇を固める俳優さんたちもあの時代を感じさせる雰囲気を醸しだし、ほどよい緊張感を生み出していた。


今では知らない人はいないだろう「ワシントン・ポスト」だが、当時は一地方紙だったということを初めて知った。横文字を見るとみんな凄く見えてしまう日本人の典型的なパターンで申し訳ない(汗)


だからこそ、同じ内容を扱った全国紙の「ニューヨーク・タイムス」と少し対応が異なったようだが、それでも、真実を伝える報道機関としての矜持といえる姿がしっかりと描かれていた。真実を伝えるべく奮闘する記者たちとそれを支える会社の立場を分かりやすく描いているのも良かった。


父親が育てた新聞社、その後継者として指名された夫。娘であり、妻である現社主はふたりの天才を間近で見ながら、家庭婦人として生活をしていた女性だ。ところが、夫の突然の死で、自らのホームである新聞社を引き継ぐことになってしまった。


社内には自分よりすぐれた人はたくさんいる。その中で、父や夫が手塩にかけて育てた新聞社を守りたい一心で、職に就いている人だ。


家庭婦人であった頃は、友人として親しく互いに思いやれた間柄の人物にも厳しい目を向けていかねばならない。彼女自身も報道機関の経営者として逞しく成長していく。


映画は、ワシントン・ポストの転機となるベトナム戦争についてのスクープ記事の掲載に端を発した一連の事件を描く。


ベトナム戦争の現状をレポートした機密文書。国が発表し、世間にもたらされるベトナム戦争の状況とは全く異なる厳しい内容で、既に勝てる要素は無かったことが記されている。現場をリポートした記者は、その真実をひた隠す国に愛想を尽かし、自ら機密文書を持ち出してしまう。


その一部がニューヨーク・タイムスに掲載されるのだが、後追い取材となるワシントン・ポストは他にも資料はあるはずだと記者たちが奔走し、現物を手に入れる。その頃、既にニューヨーク・タイムスは発行停止の処分を受けており、この真実を世に問えるのはワシントン・ポストしかないと…


この辺りは社内でも、会社を温存したい経営サイドと真実を追究する記者たちとでせめぎ合いが起こる。


社主をお飾りと考えていた経営陣は、彼女に決断を迫る。国を相手に闘う気概など無いと判断したのだろう。決断を下すまでの社主の苦悩を演じるメリル・ストリープがカッコいい。


確かに会社には多くの社員がおり、彼らにはそれぞれ家族がいる。彼女の決断1つで、それら多くの人が路頭に迷うかもしれない。しかし、自分たちは何を生業にしているのか。記者は真実を追求し、印刷技師は真実を印刷し、配送ドライバーは真実を届ける役目を果たしている。


それらの情景が順を追って分かりやすく描かれていく。こんなところはさすがスピルバーグだと思う。誰にでも分かる形で話を重ねていく。


自由の国、アメリカは司法の場で報道機関の自由を守る判断を下す。なんとドラマチック!!ドラマチックではあるけれど、ヤッターと万歳する感じでなく、小さくガッツポーズ的な…(笑)


全編、ほどよい緊張感と高揚感に貫かれた映画。


ラストで、機密文書を巡って、ニクソンワシントン・ポストホワイトハウス出禁を決定したことが「ウォーターゲート事件」に繋がっていくのが描かれていた。


ここからはリーアム・ニーソン主演の「ザ・シークレットマン」に繋がっていくわけだ。そして、なぜ、ワシントン・ポストだったのかが分かるわけだ…


映画って面白い!!