今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男


チャーチルってどんな人かなぁってレベルでも十分観られるけど、映画「ダンケルク」や「英国王のスピーチ」を観ておくとさらに背景が分かって、話が分かりやすい。


権力者が保身に走って今の安全のために戦うのか、将来の国の立場を考えて戦うのか、それによって、大きく結果が変わってくる。映画はまさにその時を描いている。


その特異なキャラクターと影響力で人心を掌握したヒトラーナチス・ドイツは次々とヨーロッパを征服していく。海を挟んだイギリスはまだ本土に直接的な被害は無いが、その無事がいつまでも保証されないことは誰もが知っている。


そんな時にチャーチルは首相に任命される。自らの保身に躍起になる一部の議員にはチャーチルに全ての責任を取らせて、ドイツと不可侵条約を結んで、なんとか急場を凌ごうと思っている輩がいる。


それも国を守る1つの姿勢ではあるが、強権をふるう独裁者に自ら頭を垂れることをチャーチルは嫌う。


しかし、力を持つ中心的な議員たちは戦いに突き進む彼の戦時下の作戦での過去の失敗をもとに、彼に賛同せず、対話をもって、自らの道を選ぶべきだと主張する。


ヒトラーと同盟を結ぶイタリアのムッソリーニに取り持ってもらって、国を守ろうと。


今だからこそ、「それはヤバい」と分かるが、当時の混乱した戦況の中では、判断を誤る人たちもいたのだろう。圧倒的な武力を誇るドイツに対し、イギリス国内、本土にはほとんど兵力が残されていない。みな、ヨーロッパの戦地に出征しているのだ。そんな状況下で、ドイツの本土上陸が現実のものとなってきている時なのだ。


議会の中心者たちの理解を得られないチャーチル本人も、どこまでも誇りを失わず戦うと推し進めることに迷いを生じていく。


リーダーは大変なのだ。責任が伴うから。


フランスが陥落したことで、フランスに出征していたイギリス兵士が窮地に陥る。ダンケルクの浜に追い詰められた30万の兵士をなんとしても救い出し、ドイツの本土上陸を防ごうと決断する。


ただ、それにはダンケルクの浜の手前を拠点にしていた守備隊に救出が予定されない徹底抗戦の指示を下さねばならなかった。


チャーチルの決断で救われた多くの命。でも、それは別の犠牲があった上での救い。戦争の悲惨さを改めて感じるエピソード。


アカデミー賞でオスカーを受けた辻さんの特殊メイクは感動的だ。スクリーンのチャーチルの表情からは演じるゲイリー・オールドマンのそれはいささかも感じられない。あんな顔した俳優さんが演じてるとしか思えない。


そうした、表情だけでなく、チャーチルはあんな風に熱のある演説をする人なのか。聞く者を奮い立たせるような強く熱い言葉。


ヒトラーも人心を掌握したのは、演説の上手さによるところが大きいと聞いたことがある。


同じ言葉でも話し方1つで全く別の結果がもたらされていく。まさにその瞬間を観る。


ところで、ダンケルクから撤退し、戦況が変わっていく中で、チャーチルも結局権力闘争の場から引きずり下ろされていくらしい。あまり、その辺の歴史には詳しくないので、なんとも言えないが、時は人を選ぶのかもしれないと思った。