今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

祝福 オラとニコデムの家


試写会にて鑑賞。渋谷の新南口にある試写会場。ヒカリエとかの裏側の町に行ってきた。


ポーランドドキュメンタリー映画で、いまや世界的にも評価の高い山形ドキュメンタリー映画祭で大賞を受賞した作品らしい。


映画祭当時のタイトルは、公開時の副題になっている「オラとニコデムの家」ここに「祝福」という邦題をつけた配給会社のセンスやいかに。


オラは14歳、ニコデムは13歳の年子の姉と弟。2人は飲んだくれの父親と3人暮らし。


父親の酒飲みは、行政の指導担当者が定期的にチェックに来るほどの状態で、弟のニコデムは自閉症。しかも、家には母親の姿も無い。


こんな状態だから、家の切り盛りはオラの役目になっている。


近く、ニコデムは教会で、洗礼式(キリスト教を知らないから全然分からん!!なんとなく、そんな感じの…汗)で認めてもらうために教義の勉強をしなければならない。ニコデムの自閉症は試験回避の理由にはならないのだ。


オラは自分の学校、友人や仲間との時間を楽しむが、他の子どもたちと違い、家に帰れば、弟の勉強や学校の準備まで彼女の役回りになる。まだ14歳だ。どれほどの思いがあるのか、彼女はけして弱音を吐かない。ただ、ひたすら、弟を叱咤激励して勉強させようとする。


何が、彼女を突き動かしているのか。


それは、父とは別の男と一緒に暮らす母親が乳飲み子を抱えて戻ってきた後に分かってくる。彼女の表情が微妙に柔らかくなってくるからだ。


やはり、まだ14歳なのだ。自分がやらねばという思いで、ひたすら頑張ってきたのだろうけど。


大酒飲みの父親、情緒不安定な母親、自閉症の弟。か細い彼女の両肩に押し寄せる問題の数々。


観てるこちらが苦しくなってくるオラを取り巻く環境。ただ可哀想だというのではなく、誰か手を差し伸べられないのかと考える。けして、フィクションでなく、ワルシャワの町に行けば、彼女はいるだから。。。


それまで、気丈に健気に頑張ってきたオラの心が折れるところで映画は終わる。


彼女の夢が潰えたのだ。弟の洗礼式が滞りなく終われば、再び、家族として、みなで暮らせると思い描いていたのだ。


結局、彼女の夢は夢のままで終わってしまう。これまで、必死で頑張ってきた心の強い少女。彼女こそ、幸せになる権利がある。