今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

映画ミニ講座「ゲッベルスと私」@岩波ホール


岩波ホールの支配人の司会で、岩波ホールで公開中の「ゲッベルスと私」の字幕翻訳者・吉川美奈子さんの講演。


吉川さんはお話が上手で、開会の挨拶と質疑応答の声かけだけは支配人がしたが、あとはお一人で進めていかれた。


今回翻訳された作品に関するお話も製作サイドと繋がりがあるからこそ知れるお話もあって、興味深いものだったが、1番印象に残ったのは「字幕翻訳者」のお仕事とはどんなことかというお話。


「へぇ〜、そうなんだぁ」と初めて知ることが多く、専門家ならではの話で、この講座に参加できて良かったなと。


お話が上手ということもあるし、滑舌良く、明るく話を進められる吉川さん。翻訳家の「先生」という堅い印象もなく、親しみ深い女性だった。吉川さんが最近のご自分のお仕事として名を挙げた作品は、ほぼ全部観ており、それも身近な印象を抱いた原因かも。それだけ、ドイツ映画には、かかせない方のお話を聞けたということだ。


今回の質疑応答の中で、私も感じてたことを質問された方がいた。映画「ゲッベルスと私」の原題は「A GERMAN LIFE」なのだ。これは英語がからっきしな私にだって訳せる簡単な英語。直訳すると「あるドイツ人の人生」。


ゲッベルスと私」という邦題から感じられた印象は、ゲッペルスの秘書として、ゲッペルスの身近におり、発言もゲッペルスに関することが多いのだろうと。ゲッペルスの為したことを証言する映画なのだろうと思っていた。


ところが、映画に登場する秘書本人の言葉を借りれば、ゲッペルス本人に会うのなど滅多に無く、手渡された文書をタイピングするだけだったらしい。


ん?ゲッペルス、あんまり関係ないじゃんって。


確かに日本で公開するにあたって、「あるドイツ人の人生」じゃ、人は呼べないか…


でも、ちょっと違うんじゃないかと…


これには翻訳者の吉川さんなりの解釈と支配人の明快なお答えがあり、それは公開にかかわった側としてのしっかりとしたビジョンを感じられるものだった。


こうして、製作、配給、公開にかかわった現場の方の声を聞ける機会ってそうそう無いから、とても楽しい。


良い時間をありがとうございました。