もうしばらく1冊の本を読み切れていない(涙)。活字がツラいわけでもなく、図書館の予約本も順調に手に届いてるのに、読む気になれないし、読み切れない…
本当に久しぶりに読み切った…瀬尾さんの本はいつもとても軽快な展開で温かい思いに溢れ、あっという間に読んじゃうのに、今回は10日もかかった…
「ありか」瀬尾まいこ 著/水鈴社
以下、感想。。。
家族の形…血縁にこだわらない、新しい繋がり…
最近、小説も映画もドラマも「血は水より濃い」的な縛りを外す作品が増えている。それだけ、人の繋がりが新たな形になってきてるんだろう
本作も、小学校入学前の娘を育てるシングルマザーが主人公で、なぜか離婚した夫の弟やその恋人、離婚した夫の両親などに守られて、地に足つけてしっかり生きてる。まだ20代半ばの主人公が日々の暮らしの中で、自力をつけ、新たな関係を築き、自分というものを確立していく過程が描かれる
感動するし、世間的には珍しい関係がしっかり受け入れられるし、瀬尾作品ならではの充実感もある
それでも10日もかかったのは…
実は、お話は感動的で納得できる形に帰結するんだけど、そこここにちょっと首を傾げてしまう描写があって、そこが最後まで気になってしまったのだ。。。
主人公は26歳、彼女たちを支える義弟は25歳…ということは離婚した夫はせいぜい30歳くらいと考えられる(本編にも年齢の行はあったかもしれないけど、覚えていない…汗)。そこから類推するに夫の両親はかろうじて現役世代くらいか…
なんと、その義母からは娘(義母から見れば孫)のためにと、毎月8万円の仕送りがある!!確かに「8万円」と書かれていた。一般家庭において「8万円」というのが、どの程度のものか、著者には分からなかったのか?安定的に作品を生み出して、売れてる作家なのだから、一般家庭の指標は分からないかもしれないが、編集者は何も感じなかったのか…
現役世代ギリギリかあるいは定年したばかりの夫婦2人世帯において、自分達が生活する他に「8万円/月」って、どんなに裕福な家庭なのだろうかと…
さらに離婚した夫の払う養育費「4万円」!私の息子も離婚経験があるので、その基準からすると、なかなかだ。養育費というのは払う側の財力も考慮される。つまり、元夫には4万円を支払える収入があるということだ。ちなみに息子は3万円…それだって、彼の収入からしたら、かなりハードな金額だ。進んで残業をしないとカバー出来ないと言っていた!
つまり、主人公は26歳で6歳の娘がいる、今どき珍しい超若い母親だが、安定的な収入のある家庭に育った、安定的に収入のある夫と結婚したことになる
それに娘(孫)は年長さんなのだが、「5歳」なんだそうだ。入学を控え、遅ればせながらランドセルを購入し、新年を迎えているが、「5歳」…普通に年長さんの子供を描写するなら「6歳」にしないだろうか…
入学までのあと僅かな日々で6歳になるのか?超早生まれってことなのか?確かに3月後半の生まれの人はたくさんいる。でも、一般的な小説の中で、なんの説明もなく「早生まれ」設定は、ちょっと頭が追いつかない…
昨今、離婚家庭が増え、シングルマザーの暮らしの厳しさを伝え聞くことが増えた。私が子どもの時代は、まだ世の中も今と違って、全体が貧しかったし、そのクセ、心には余裕があった。だから、母子家庭(当時はそう呼ぶのが普通だった)の子は、まわりの社会にも育ててもらってた。みんな貧しいけど、だからって放ってはいけない。わずかだけど手助けをするのが当たり前だった。学校から帰ると妹の同級生で母親が働いてる子が我が家でおやつを食べていた。妹と2人で…
そんな光景は珍しくもなく、逆に私の母が具合の悪い時はその同級生の母親が、仕事先でもらったと言って果物を届けてくれた。
本作の主人公は、私が子ども時代の母子家庭の母親のようだ…今のたった1人で必死に生きてるシングルマザーたちとはなんだか印象が違う
主人公が1人休んだところで、代わりは幾らでもいるし、特に迷惑がかかるわけでもない職場は工場で、流れ作業のような仕事らしい。毎日、定時に帰って、保育園のお迎えに十分間に合っている。そんな形で、どうやって、義母から貰う8万円に手もつけず、部屋を借り、誰からも援助されず、娘と2人しっかりと生活できるのか…
いろんな意味で「ファンタジー」な小説だと思ってしまったのだ…
なんだか、薄らぼんやりとした印象になってしまった本作…「8万円」はさすがに見間違えたのではないか…と思ったが、もう見返す気力も無かった