今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

長〜いタイトル!?

更新は最後と書いておきながら、追記f(^^;

実は年末ギリギリの今日、に1冊読み終わりました。

『世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田市につくった男はなぜ忘れ去られたのか』岡田芳郎(講談社)

長いタイトルでしょ?
感想を書く前になぜこの本を読む気になったのか…
それは相当昔になりますが…3年ほど、山形県に暮らしたことがあるから…住んでたのは山形市なんだけど、月山新道という峠道を車で走り、酒田や鶴岡という庄内まで遊びに行ったことがあるんだ。

昔、それこそかなりの昔、酒田は栄えてたって聞いて(この書き方は失礼かな…)…山に囲まれた置賜地方に比べて、海のあった庄内は関西との交流が深く、文化的にも進んでたって聞いてたから。

そんな土地の文化に寄与した人が忘れ去られた歴史は知っとかないと…ね(^-^)v

では、感想を…













忘れ去られた男の名は「佐藤久一」
初孫酒造の御曹司!!「初孫」は今なら、東京でも簡単に手に入る?
私が住んでた当時は東京じゃあまり手に入らないお酒だった。地元山形じゃ有名だったけど、東京じゃ、まだ越乃寒梅の方が…ね。

御曹司にもかかわらず、家業は継がず、父親が半分道楽のように始めた映画館を引き継ぐ。

実はあの有名な「酒田の大火」の火元がこの映画館だと言われているんだって。久一はすでに映画館の経営からは手を引いていたのだけど、自分が手塩にかけて育てたものがあっという間に灰に帰すというのはどんな気持ちだったろうか…

とにかく、久一という人は常人の尺度では計れない人だったようで…紆余曲折を経て、レストラン経営に辿り着く。映画館とレストラン…全く違う世界のように思ってたけど、久一的な視点に立てば、人に喜びを与えるという点で共通点があるんだね。

「ル・ポットフー」(レストランの名前ね…)行ってみたかったなぁ〜。相方は行ったらしいよ!!

最後は採算を度外視した経営が問題になり、レストランを追われることになるんだけど、そこに至るまで、彼は走るのを止めなかったんだよね。

ちょうど私が山形に住んでた頃は久一の事業が厳しい局面を迎えてた時期だったと知った。

地元の人達に一流を楽しむ空間を提供するために奔走した久一の人生を知り、彼の生きた時代の「贅沢さ」を感じる。確かに今はすべてにおいて、便利だし、満たされてるようだけど…私のような一般庶民が心の贅沢を味わえる空間って、どれだけあるのかな…

久一の時代の酒田の人達は自分達の「幸せ加減」に気づいてたかな?きっと、気づいてるよね。だから、こうして忘れ去られた男の話が本になるんだから…

但し、著者の岡田氏は東京の方です(^^;)))久一の人を惹き付ける魅力に気圧されて、岡田氏自身も病気を克服して、完成させた本!!

久一という人への熱い思いに溢れた作品でした。

冬の酒田港を見たことがある。読み終えて、あの景色を思い出した。もう20年近く前なのに、昨日見た風景のように…
行ってみたいなぁ、久しぶりに。
プロジェクトX系に思うかもしれないけど、それは無い。だって、晩年は悲しいもん(;_;)

さぁ、これで、本当に最後かな、更新。
来年も頑張ろうp(^-^)q