久しぶりの歴史小説!!
いやぁ〜!!
面白かったぁ〜♪
前作「覇王の番人」もホントに面白かったけど、今回はそれ以上の面白さ(^-^)v
本作の主人公は「細川政元」
知ってますか?
私は、「細川」と言ったら、「細川ガラシャ」と「細川忠興」と「細川元首相」しか知らない日本史オンチ(笑)友人にも「細川」さんはいない!!
しかも、細川忠興・ガラシャ夫妻を知ったのは、真保さんの前作「覇王の番人」を読んだから…(汗)
それまでは…名前だけ知ってた「細川ガラシャ」って、江戸時代に海を渡って嫁に来た百済とかの人かと思ってたほどの超日本史オンチだから…(((^^;)
だいたい「百済」って、江戸時代に存在してるかどうかも分からん!!
とにかく、日本史の話に出てくるアジア方面からの渡来人はみんな「百済」出身!!
こんなに予備知識が無いから、時代考証とか史実とかはあんまり関係無くて、お話自体を楽しめるわけでありんす〜(((^^;)
惣領息子として生まれながら、家中の者からは出生に疑惑を持たれた政元は、聡明丸という幼名に違わぬ賢さを備え、大人の顔色を窺いながら、成長していく…
大人の顔色を窺うと言っても、媚びへつらうわけではなく、大人の顔をして、決して弱音を見せずに生きていくのだ。
彼を囲む家中の者達は、その底知れない賢さに畏れをなし、彼自身、心から信頼出来る者がいないままに父の後を継ぎ、所領を治めることになる。
側室の成した3つ年上の姉は、武家の娘の慣わしで良縁が調うまでと4つの年から寺に預けられる。
弟・政元と共に暮らしたことも無かったが、互いの境遇は2人を強く結びつけ、父・勝元の実子では無いとの疑いが持たれていた政元は、姉の安喜こそを嫁にと望んでいたと思われ…
という子供時代…
歴史の流れに振り回されながら、政元は安喜と別の道を進み、将軍の政まで左右する立場に昇りつめる。
政元は、正直、賢すぎて、凡人には底が知れず、どこか歩み寄る術を遠ざける風がある。
子供時代の家中の者達の疑いのこもった目が、彼をそういう人間に育てていったのだ。
それでもまだ、父・勝元の命を受け、政元の側に就いた者達の生きている時代は、細川家の流れは強いものであった。彼らが、政元の言葉の不足を補い、第一線に出て力を発揮したから…
しかし、それらの人達が息子に代替わりしたり、亡くなったりして、政元の本心は側近の者でさえ、読みきれず、家中に暗く静かな迷いを生んでいった。
政元の振り回しようは、読み手をも振り回されるほどで、小説の段の取り方も数年単位で章が進んでいるので、一章進むだけで、政元を囲む状況は天と地ほど違っている…
様々な政変の渦中にありながら、けして、その変人ぶりは変わらない。昔から彼の本性を知り、サポートしてきた人々が亡くなり、御輿を担ぐ人々がいなくなってしまった政元は、結局誤解を解こうとはせず、最期の時を迎えてしまう。
長いこと悩んできた出自の解決がついた時、彼は人々のための政より、自分をとった。
それほど、彼を悩ませていたことが初めて分かる。
真保裕一さんの後書きに政元を主人公に選んだ理由が書かれている。
前作の主人公、明智光秀も名前だけは有名だが、果たして彼の人生の全てが語られているだろうか。
真保さんは、小説として脚色できる人物を見つけるととっても嬉しいらしい…
書き手のワクワク感が小説に乗り移った感じ!!
是非とも、お読みあれ〜