時代小説は良い!!
古き良き時代の日本の人々の生き様に救われる。
私(日本人)のルーツはこんなにも潔い、清々しい人々だったのかと…
以下、感想…
とにかく、自分を律することにかけては、右に出る者はいないほどの清廉さを持つ武士、戸田秋谷…
7年前の御家の騒動で蟄居、幽閉され、3年後の切腹の沙汰を静かに待ちながら、御家の「家譜」の作成に務める秋谷…
城内で刃傷沙汰を招いた若き侍、檀野庄三郎は、切腹の責めを負うべきところ、幽閉先の戸田秋谷の元で、表向きは「家譜」の清書を務めるということで、赦され、秋谷の元に向かう。
しかし、秋谷は、庄三郎の来訪の真の意味を「秋谷の監視」と見抜いてしまう。
3年後に確実に訪れる切腹の時を気にするふうでもない秋谷の様子に庄三郎は、そもそも秋谷が切腹の沙汰を受けることになった「事件」に疑問を持つようになる。
最初の出会いから戸田秋谷が切腹するまでの3年間の物語が綴られている「蜩の記」
庄三郎が日に日に秋谷に心酔し、戸田の家族に無くてはならない存在になっていく。
命乞いをすることも出来たのに、どこまでも清廉な道を進む秋谷の生き様は、涙を誘う。
秋谷本人が為し得なかった戸田家の再興は、息子の郁太郎と藩命を帯びて突然現れた庄三郎によって、為される…
本人の最期の描写は全く無いのに、秋谷の思いが伝わってくるようなラスト…
最近、涙もろくなったのか、小説のちょっと良いシーンを読んでもほろり…
今回は、号泣でした。