今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

SUMODO 相撲道 サムライを継ぐ者


現在、11月場所開催中の大相撲。会場である両国国技館に1番近いシネコンTOHOシネマズ錦糸町楽天地で上映中。都内で他に上映してる劇場は少ない。やっぱり地元だからこその上映なのかな?だとしたら、嬉しい。


元両国の境川親方が率いる境川部屋、元安芸乃島の高田川親方が率いる高田川部屋の2つに長期密着したドキュメンタリー。


両国とか安芸乃島とか、現役時代を知ってるだけに興味津々なのだ。脈々と受け継がれる「相撲道」。かつて、角界を沸かした力士たちも現役を去り、後から続く若者たちを指導する立場になっていく。両国も安芸乃島も目つき顔つきがすっかり変わっている。多くの弟子を指導する立場になり、彼らも今までのやり方を踏襲するだけでは進歩が無いことを知っている。


時代とともに変えてはいけないもの、変えていかないといけないもの。それらの最前線に立ち、若者たちに相撲の世界で喜びを得られるよう先頭に立ち、後押しし、親方って大変だ。


安芸乃島が弟子の稽古途中で席を外した時、「あぁ、こうして親方が裏に引っ込んでから、様々な問題が起きていたんだなぁ」とほんの一瞬だが、真面目に過去の角界の問題が頭を過ぎった。


ところが、次の瞬間。弟子たちはある一方に目を向け、みな頭を下げた。なんと、安芸乃島、いや高田川親方がまわしを締めて土俵に現れたのだ!


弟子によると親方は既に現役を退いて10年以上になるそうだ(これには私もびっくり!もうそんなに経ったのか!)。その親方が、口で言ってるだけでは伝わらないし、分からないまま稽古しても力は付かないと弟子たちに寄り添い、手取り足取りで同じ目線に立って指導している。若い親方だからこその指導法ではあるが、親元を離れて相撲部屋で暮らす若者たちにとって、親方は親も同然で、その親が直ぐ側で手本を見せながら、彼らの行く方向を示してくれるのだ。これでやる気の起きないヤツはもう既に相撲取りの資格も無いように思う。


かつては稽古、稽古で、与えられた厳しい環境の中で結果を得ていった相撲の世界。でも、今は親方の示した道を参考に1人1人が自分に必要な物は何か、何をすべきかを考え、稽古に取り組む時代になった。


新しい時代にただ新しいだけではない相撲の世界。様々な問題がおき、相撲界全体で改善に努め、古き良き部分を残しつつ、新しい取り組みを進める。


若き親方たちはその先導役なのだろう。彼らの姿を見ながら、若い力士たちは成長していく。この映画を観ると相撲を見る目が少し変わる。


今どきの若者たちが「稽古こそ命」的に必死に取り組む姿を見せるからだ。毎日が「命懸け」の彼らの日常に触れ、相撲の凄さをあらためて認識するのだ。もったいないなぁ。もっとたくさんのスクリーンでかけてほしいなぁ。


この映画を観た人は絶対に豪栄道(武隈親方)に惚れる。そして、竜電の活躍を楽しみにする。そして、對馬洋の成長に期待を寄せる。そして、妙義龍に1日も長く土俵に立っていてほしいと願う。