今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

あなたの旅立ち、綴ります


試写にて鑑賞。シャーリー・マクレーンの大御所の大御所たる演技。昔、美しい女優さんで一世を風靡した人は、年老いた姿は見せたくないんじゃないだろうか。特に人の目に晒されてきたハリウッドの女優さんは。


でも、その貫禄で説得力を持たせることも出来る。まさにそんなお話。


かつて、広告業で大きな仕事を為し、とある広告会社の代表まで務めた女性。現役を引退し、第一線から退いた彼女には大きな家はあるが、楽しく語り合う友人はいない。


彼女が若い頃の世間の風潮は、女性が社会で働くことに不寛容で、ましてや男性社会の上に立つなどもっての外という時代。全てに先進を行く彼女は妬まれ、疎まれ、それが今の彼女の生活ぶりに大きく反映している。


仕事でやり合った人間は彼女を良く言うことはない。だから、全ての影響力を失った後でも彼女に近づく者がいない。


大きな屋敷で、何不自由の無い生活。でも、やる気に満ちあふれていた若い頃の思いは、心にくすぶり続けている。


そんなある日、彼女は地元紙の訃報欄にかつての知人たちが掲載されているのに気づく。それらは、仕事上で繋がりのあった人物たちだから、彼女からすれば、当然仕事の出来ないイヤなヤツであったり、嫉妬から様々な嫌がらせをしてきたヤツであったりする。


そんな人物が訃報欄に掲載されるとなると、素晴らしい人物で、友人が多く、家族に愛されていたとなる。これはおかしい。ホントの事を掲載すべき。でも、自分が死んだらどうなるのか。


そこで、彼女はかつて仕事の上で大いに力を貸した地元紙を訪ね、訃報ライターに仕事を依頼する。


全て、自分で決めて生きてきた彼女。訃報欄に掲載される文章も生きてるうちに自分の目でチェックしておきたいのだ。


嫌々仕事を仰せつかる若き訃報ライター。金持ちの年寄りの道楽に付き合ってはいられないと思うが、彼女とかかわることで、少しずつ自分の可能性に気づいていく。


これまで、1人で決めて、1人で生きてきた彼女に、ライターは社会的弱者へ手を差し伸べてみるのはどうかと提案するのだが、早速、彼女は家庭的に問題のある子どもたちを預かっている施設に赴き、自分の後を継ぐべき才能の持ち主を探し出す。


口が悪く、反抗的な黒人の少女ブレンダ。でも、発想が素晴らしい。自由で枠に囚われない少女にかつての自分を見出す主人公。


老い先短い孤独な老婦人、大きな仕事にチャレンジする勇気に欠ける若きライター、様々な足枷がありながらも元気にはつらつと生きる9歳の少女。


世代の違う、三者三様の考えを持つこの出会いが、ライターと少女の人生を大きく変えていく。


老婦人は言う。新たな挑戦に足踏みしている人を挑発し、その才能を開花させたのだと。若い2人の可能性を早くから見出し、そばに寄り添い、後押しすることで、自分の仕事をしたのだと。


老婦人はこの世を去るが、彼女の思いはしっかりと引き継がれて行く。ドラマチックに盛り上がるような展開では無いけれど、静かに流れる時の中にしっかりとそれぞれの思いが繋がっていく。


若きライター役のアマンダ・セイフライドはちょっと苦手な女優さんなのだが、そんなに苦にはならなかった。なにより、ブレンダ役の子役ちゃんが素晴らしかった。


まるで、青春ドラマのような笑いあり、丁々発止ありの楽しい映画だった。あっ、笑えるという意味で楽しいのではなくて。。。もちろん、笑えるシーンもあるけれど。