今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

Into the Wild

ショーン・ペンが監督として、映画化したことで話題になったノンフィクション。。。


映画の宣伝文句から、文明を否定し、野にあるものだけで生きていこうとした若者の話だと想像してたけど…


邦題『荒野へ』ジョン・クラカワー(集英社文庫)


以下、感想。。。
















著者のクラカワー氏も登山家であったことから、様々な冒険旅行をした若者の話題が豊富で、このノンフィクションの主人公「クリス・マッカンドレス」以前に同様な冒険をした若者の顛末を語っている。


多分、マッカンドレスの話だけなら、こんなにページ数は必要なかっただろう。


アメリカって凄い国だなぁと思う。


荒野で自然にあるものだけを食して生活した若者はマッカンドレスだけではないし、国中に親指を立てて、旅をする人々が溢れている。


そして、そうした人々を受け入れ、その後も交流を続けていく人達がなんと多いことか…


お国柄…と言ってしまえば、それだけかもしれないけど、やっぱりアメリカという国は懐が深い。


マッカンドレスは映画の宣伝文句にあったように文明を否定してた訳じゃない。現に町で働いて金を手にしている。


ヒッチハイクをして知り合った人々の求めに応じて、働いて某かの対価を得ている。


彼は文明を否定したんじゃなく、自分の存在する世界…家族や自分を取り巻いていた環境…を否定したんだろうなぁ〜。


正直な若い心は「否定した世界」で、自分を偽りながら生きていくことはできなかったんだろ〜な…


本人は、現代社会の進歩した生活から一気に荒野へ足を踏み入れるのに何の躊躇もなかったんだろうけど、置き去りにされた家族や友人はどんな思いだったろうかと…


植村直己さんのような「冒険家」として生きる訳でなく、ある一時期に今ある環境からの離脱…人によっては逃避…のための「冒険家」的生活では自ずと準備・知識に差があるだろう。


心構え…覚悟は尚更違うはず…


マッカンドレスを否定する人々はやはり「冒険家」として彼を評価したんだと思う。


だけど、彼は真の「冒険家」じゃなかったんだよね、きっと。


かつて、読んだ船戸与一さんの作品の後書きに…


船戸作品は海外が舞台の物が多く、「冒険」をテーマにしてる訳じゃないけど、ハードボイルドって訳でもなく…


う〜ん(((^^;)


上手く表現できないんだけど、舞台となる国はけして豊かな国ではなくて、様々な人々が集まり、強かに生き抜いていく話が多い。。。


で、前述の後書き…


あまり日本人がいなそうな国や地域に取材に出かけて行くことが多いが、今やどんなところにも日本人は存在している。


彼らはすでに日本人としての名を捨て、日本にいるはずの家族にさえ、連絡を取っていない。


自分を縛り付けていた環境から解き放たれ、彼らは今居る場所で強かに生き抜き、活き活きとしている…


って内容だったと思う。もう何年も前の記憶だから、かなり怪しいけど(^-^;


その日本人の1人はすでに日本人としての証明であるパスポートを失っていた。家族も僕が生きてるとは思っていないだろうと言ってのける。


マッカンドレスも彼らと同じような生き方を選ぼうとしたんだろうな…とふいに何年も前の「後書き」を思い出した。


読み応えのある作品だった。


ショーン・ペンはこの作品をどのように味付けしたんだろうか…


名画座で上映されたら、是非とも観たい。アラスカの景観を考えたら、DVDじゃなくて、スクリーンで観たいなぁ(*^^*)