今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

新選組・幕末の青嵐

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映画・実写版「銀魂」も第2作が今週末で公開終了という時期になり、アニメ版を少しずつ見直している。

最初は息子たちが見てる時に一緒にオンタイムで見始めたのだが、その息子たちも今では独立し、時間の経過をあらためて感じるのだ。

銀魂」の登場人物たちはどこかで聞いた名前が多い。それぞれにモデルとなる実在の人物がいる。主人公の坂田銀時は金太郎の坂田金時。こちらは歴史上の人物と言っても、小説の主人公までにはなっていない(汗)。

実は、私は日本史がとっても苦手。日本人なのに(涙)。授業の時など、ほとんど睡眠学習状態だった。まず暗記がダメだから、受験用に年号を暗記することすらできず、私は日本人ではないのかもしれない(笑)などと思ったり、かと言って、世界史だって年号暗記という高いハードルがあり、歴史を全体として捉えることは全くダメな人だった。ただ、その流れの中である1人に焦点を当てた小説や、ある1つの時代を描く物語にはとっても興味があり、出発は映画だけど、ちょっと読み物にも触れてみようと。

そうなれば、やっぱり新選組だよねぇ。アニメ「銀魂」でも主人公の銀さんの次にカッコ良くて思い入れがあるのは土方十四郎(あくまでも、私的に…)。

そこで、いくつかチェックし、始めてお名前を聞いた小説家の作品に手を伸ばしてみた。





新選組 幕末の青嵐』木内 昇(きうち のぼり)著(集英社文庫)

以下、感想。。。



















新選組の主要メンバー武州・日野宿の試衛館(しえいかん)という道場で出会い、武士を夢見て京に出立し、新時代到来のまさにその時を生きる物語。

新選組と言えば、誰もが知ってる近藤勇土方歳三沖田総司。この小説はもちろんそんな人たちも登場するが、それ以外の隊士の目線でも描かれる。

連作短編小説の更なる進化版のようだ。

そして、とにかく面白い。主婦ならではの家の雑事に追われ、読みかけの本を閉じるのがどんなにイヤだったか。。。

それぞれにそれぞれの考えもあり、思いもあるが、昔からの絆は表面的な意見の相違程度で断ち切れるワケではなく、どこまでも自分の信念を曲げず、互いを信頼し生き抜くために戦い続ける。

信頼といっても、言葉でどうこうするものでなく、いつも密接にそばにいるわけでもなく、互いの生き方を信頼するというか…なんだか、本気で生きてる人たちの集団なんだなと。

だから、生半可な名声や上辺の言葉に翻弄されてしまう人はいつしか居場所がなくなる集団。

歴史上の人物や出来事は結局、勝った者の歴史だ。勝負として敗れた者は、悪として描かれる。新選組はまさにそれなんだろう。戦国末期の石田三成のように。。。

トータルで日本の歴史を細かくは知らないが、こんな激動の時代に1つの真実を見る思い。多分、薩摩には薩摩の、土佐には土佐の「真実」があり、それはそれで語り継がれていくのだろうが、きっと、それぞれ付き合わせてみれば、相矛盾する場面も多いことだろう。

今のような情報化社会であれば、1つの行き違いを素早く訂正し、手を打つことはできるだろうが、情報など、人の手に頼るしかなかった時代だ。だからこそ、多くの諍いがおこったのだろうなと。

でも、だからこそ、いつも真剣に命と向き合った時代でもあったのだろう。明日は無い日々を重ねた人々のイキイキとした日常を読む。

この本を読んだら、より一層土方歳三を好きになる。信義を貫き、全てを背負い、人を守るために鬼になった男。カッコいいにもほどがある。

国の行く末を左右する戦いにあって、多くの人々が命を落とす。史実を基にしてるのだ、当然ながら、主人公たちも最後にはこの世を去る。しかし、爽やかな読後感を味わえる。一時代を生き抜いた若者の物語として。