珍しく、図書館の手配が上手くいき、上下巻を少しの時間差を持たせて借り出すことができた(^-^)v
予約の重なる新刊本ではここ最近珍しい。。。
上下巻セット貸し出しをする図書館もあるらしいけど、何かと忙しい時に2冊いっぺんに届くと困るよねf(^_^;
最近の小説は無駄に長いし。。。
でも、今回は行間詰めて1冊にしても良かったんじゃないって分量で、楽しみながら、ゆっくり読めた!!
では、以下感想。。。
『三千枚の金貨(上・下)』宮本輝/光文社
前作『骸骨ビルの庭』は本当に心から感動し、内容的には夢物語系なんだけど、やっぱり宮本作品は「良い!!」って、改めて感じたんだけど…
今回は、どうだろう?
前作は、ここ暫くの宮本作品の傾向とは違うように感じたんだけど、今作は「戻ってきたなぁ」って印象!!
単なる一読者のクセに偉そうでしょ!?
宮本作品を愛読していて、この作品を未読の人にイメージを伝えるとしたら、「草原の椅子」の爽やかな読後感を再び味わえる…と伝えます(^-^)v
ある時期から、作品の登場人物が中国などのアジアに繋がりをもって、描かれるようになったよね…
今回も、主人公は特別休暇を得て、中国からシルクロードの旅に出る!!
おそらく、行ったことの無い人間には想像もつかない過酷な大地で、主人公は「自分」を遠くから見たらどんなふうに映るのかを探しながら旅をする…
宮本作品の主人公達は、いつも「普通の人」のちょっと上のランク(!?)の人。。。
今回も同様で、毎日あくせく生活してる私にはちょっと羨ましい人達しか、登場しない。。。
でも、そんな登場人物達が織り成す物語だから、爽やかな読後感を味わえるワケで…
有りそうで無さそうで、でもやっぱり有りそうなリアルな感覚をもった物語なら、こんなに心がスッキリはしないよなぁ〜(^o^;)
文房具一筋に生きる社長に口説かれ、独立に付き従った3人のサラリーマンが物語の牽引役!!
無我夢中で働いてきて、気づけば、3人共に社内の中心人物となり、理想としか思えない社長との結び付きを礎に大人の男の友情をしっかりと育んできた…
別に家族ぐるみの付き合いも無いし、いつも一緒というワケでも無い。
お互いに心休まる場所(飲み屋!!)は互いの「誘い」が無い限り、荒らさない!!
こんな距離感を持ちながら、互いに絶大な信頼を寄せ合えるって、まずあり得ない…
彼らは、このあり得ない繋がりの中で、あり得ない出会いを重ね、思いもしなかった道を選択する。。。
最後には、それは「あり得ない」ものではなく、ある意味必然だったと。。。
最後の「選択」は、ちょっと羨ましいランクの人達だから、決断出来たことのように思えるけど。。。
多分、違うな…
私達にも、あり得ない繋がりの中で、あり得ない出会いを重ね、思いもしなかった道を選択する瞬間はきっと来る!!
スケールの違いはあるだろうけど、そんな瞬間はみんなに用意されてるように思う。
主人公が内視鏡手術のために入院した病院で、偶然投げかけられた「金貨」の在りか…
誰が見ても、最期の時が近づいている初老の男性患者から聞いた謎かけのような「金貨」の在りかの探索は結局、きっかけにしかならなかった…
その男性の来し方を知っていくうちに主人公達の思いが少しずつ変化していく…
それが思いもしなかった「選択」をさせるワケで…
「出会い」は必然なんだと痛切に訴えてる気がする。
金貨の在りかを告げた男性の幼い頃の哀しい記憶は、今の世の中にも大きな社会問題となっている。
彼を人から預かり、親のように育てた女性の「言葉」は、多分簡単な覚悟では発せられるものじゃない…
とにかく、読んでほしい!!