「山女」と書いて「やまガール」と読むのかと思った(^▽^;)
そのまんま「やまおんな」と読みます‼
読みたいけど、読むと決まって、救いようのない結末に落ち込む湊かなえ作品(汗)。今どきの流行りを切り取って、湊さん風アレンジはどんな仕上がりになってるのか、怖いもの見たさって感じでいざ‼
以下、感想…
湊さんお得意の連作小説。6篇からなる山に登った女性のお話。
そして、この度は、皆が皆、新しい自分に出会い、一歩歩みを進めるお話。後味が爽やかな湊かなえ作品‼(貴重!?)
とある地方のデパートに勤務する同期仲良し3人組の突然の山登りから始まる物語。
前篇にかすかに登場した女性が次の作品の主人公になる形で、初心者でも楽しめる日本百名山の登山に始まり、ラストは海外まで。
山がそうさせたのか、きっとそうだ。
山支度は完璧にこなしながらも、それぞれが考え事を抱えて山に登る。
そんなに本格的とは言えなくても、山は山だ。天候次第でその危険度は増す。ハイキング気分でフラリと足を踏み入れたらとんでもない。
そして、日常を離れたちょっとした冒険旅行を楽しんだ登場人物たちは明らかに変貌を遂げる。自分では気づかない変化だけれど、間違いなく、彼女達は新しい一歩を踏み出す。
素敵な変化。
ただ、ラストのお話だけがちょっと違う。
互いの価値観の違いに気づいて、心がすれ違った時、山に登れば、違った結果が得られたかもしれない。でも、登らなかった。そのことで、大いに後悔しながらも山に登ることは無かった主人公。
でも、月日が経ち、当時とは違う環境に身を置いて再び山への道を辿った時、彼女は新たな出会いに心を打たれる。
人ってこうして生きていくんだよね。そんなふうに言われてるように思う。
人生は人それぞれ。
だから、答えなんて1つじゃないし、遠回りしたり、振り返ったり、立ち止まったり、転んだり、それでもまた、新たな出会いに心を揺り動かされる。
それぞれの登場人物たちは何か「結果」を手にしたのではないかもしれない。それぞれがまだ若く十分生きる「時」がある。
でも、「山」が転機になったのは間違いない。
素敵な一瞬があちこちに転がってる、そんな空間が「山」なのかもしれない。
こんな小説を読むと私もハイキングくらい行きたいなぁと思うが、まず、山までの道中を考えると途端に気が失せる(汗)
かと言って、隣に山があっても、これはこれで日常過ぎてダメなのかもね。
程よい高さと程よい距離…それは人との繋がりと同じようだ。