今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ラスト・ナイツ


「最後の夜」じゃありませんよ。そしたら「ラスト・ナイト」だし。「最後の騎士」ですよ‼


日本の忠臣蔵を外国の、架空の国らしい中世っぽい時代に置き換えて映像化。


フェンシングのような剣を持つ騎士ではなく、侍の持つ日本刀のように剣を扱う騎士たち。背中に剣を担いでる騎士もいれば、短剣をピシュッと投げる騎士もいる。高いところからシュッと飛び降りてくる場面もあり、なんだか忍者っぽい。


こんな感じだから、世界中のいろんな地域から出演してる俳優たちが妙にハマってる。


監督の紀里谷さんによると、いずれもお国では大変有名な実力派ばかりが参加したそうだ。お隣、韓国からはアン・ソンギ先生のご出演。


ハリウッド俳優を向こうに回して、威厳ある佇まいで、その存在感は凄い。これが世界の人の目にも触れたのかと思うと嬉しいな。なにしろ、アジアを代表する俳優さんだから。


さてさて、そんな多国籍軍の俳優陣が演じる世界では、皇帝の庇護の元、大臣の1人が公然と賄賂を求め、悪を極めている。


それに敢然と立ちはだかったのがモーガン・フリーマン演じる貴族バルトーク。彼の腹心の部下はまさに最後の騎士、クライブ・オーエン。


皇帝の前で公然と大臣に歯向かったバルトーク当主は、処刑されるのだが、これはいわゆる「松の廊下」の顛末で、お話自体もバルトーク家が取り潰され、騎士たちはそれぞれ城を出て行くのだ。


散々威張り散らして、当主の首を取った大臣は小心者でいつ復讐されるかと怯えて暮らすことになる。


1年後、部下たちはそれぞれの暮らしを細々送っているのだが、肝心の隊長は呑んだくれて見る影もない。


しかし、この呑んだくれ姿は敵を欺くためのもの。まさに大石内蔵助


いよいよ大臣が隊長はもう放っておいても安心と見張りを解いた時、千鳥足だった隊長の足はしっかりと力強く地面を踏みしめていく。


この場面、隊長の後ろ姿、それも足元しかスクリーンに登場しないのだが、これがカッコいい。おぼつかなかった足取りが真っ直ぐ力強くなって石畳を踏みしめていく、その十数歩。


紀里谷さんはやっぱり映像が綺麗。


前半こそ、セリフが多い、かつての紀里谷調だった気もするけど、城を明け渡した辺りからはちょっと雰囲気も変わってきた。


そして、大臣への復讐に立ち上がって、その広大で堅牢な城に攻め入るシーンはやっぱり日本的。ホント忍者っぽい。それがスピーディで良かった。


先日、しくじり先生で監督の苦労を聞いてたので、こんなに面白い映画が出来て良かったねと母親の心境になった(笑)


そして、長い長いエンドロールが終わり、場内が明るくなると舞台上に黒いスーツ姿の男性が‼


急遽、紀里谷監督御本人の登場です。開映前にも場内アナウンスで、監督のメッセージが伝えられたばかりで、今度は御本人の登場。場内は大盛り上がり。しばらく拍手が鳴り止まない状態でした。


メッセージでも伝わってきた十分に熱い思いを今度は本人が直に伝えてくれるわけだから。


今回、紀里谷さんの会社で配給もされてるらしく、宣伝マンも兼ねてるようです。


「作品は自分の子供」と何度もおっしゃって、この映画に賭ける思いがひとしおなんだなぁと。そして、観客の熱い拍手を受け、とうとう感極まって言葉に詰まり、「すいません」を連発する姿を見てたら、なぁんだ、この人、すっごい純粋な人なんだぁ〜と。


帰りは帰りで、ロビーで宣伝用の名刺を自ら配ってました。


しっかり稼いで、次の作品も頑張ってねと思いました。


お城や街の風景、俯瞰で見た情景など少し霞がかかった感じの映像で、時代の重さを感じさせる。それが、またお話にマッチしてる。


で、クライブ・オーエンという人はああいう衣装が似合う。彼にぴったりの役だったな。


まず、5年前からこの映画の製作が始まり、クランクインまでにかなりの時間を要したらしく、最初にキャスティングされたクライブ・オーエンはなんと3年待ってくれたらしいよ。


しかも、同じ事務所ということで、モーガン・フリーマンの参加も決まって。その辺り、監督自身がまず大感動で仕事に着手した様子が挨拶を聞いてよ〜く分かった。


まぁ、前作が前作だから、いろいろ言う人もいるかもしれないけど、私は面白かったな。なにしろ、私、「キャシャーン」結構面白いと思ったんだよね。あんまり、共感してもらえないけど(汗)