今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

サンセット


試写にて。久しぶりに渋谷ユーロライブ。渋谷だから、他の映画でも観てから行こうかと思ったのだけど、強い雨で早めに出るのを断念。。。


第二次大戦中のユダヤ人収容所を舞台に死んだ少年を自分の息子のような錯覚に囚われ、その遺体をなんとしても自分で埋葬しようと取り憑かれたように行動する男の話、「サウルの息子」の監督の新作。


予備知識はそれだけ。それ以外は入口で貰ったチラシを読んであらすじを知る。


主人公の女性が生まれた家は街の中心にある高級帽子店。富裕層の女性が帽子を被るのが当たり前の時代。馬車が交通手段の時代だから…


主人公が2歳の時に両親は家事で焼け死んだらしい。その後、施設を経由して、彼女は街から遠い場所に預けられ、家業だった帽子作りを学ぶ。


なぜ、今なのか分からないが、彼女は遠い街の帽子店を辞め、突然、かつて両親のものだった帽子店に仕事を求めてやって来る。


両親の名を留める帽子店は既に他人の手に渡っていたが、そのオーナーは彼女や両親のことをよく知る人物だ。突然の彼女の訪問が全てを狂わせていく。


明かに厄介者扱いされているのに、彼女は無表情を貫き、帽子店に居座る。そして、彼女の登場で他にも動き出す人々が…それらの出会いの中で、彼女は自分に兄が居たことを知る。


まだ2歳のうちに地方に預けられた彼女には何も知らさせていなかった。現在の帽子店の怪しげな様子や職人たちを束ねる責任者の女性からの冷たい扱いなど、彼女は兄を巡る何かしらの秘密があるのではないかと感じ始める。


とにかく、無鉄砲で考え無しに見える主人公の行動。見も知らない兄にどうしてそこまで会いたいのか。兄探しの途中で危険に出会うと帽子店を引き継いだオーナーを頼る。行動に一貫性が見られないし、なにより、その行動のチグハグぶりが観てる側をイラつかせる。142分が本当に長くて苦痛だった。


何が言いたいのか、何を求めているのか…私にはお手上げだ。


本人は兄に会ったと言うが、それは本当だろうか。国が不安定な時、富裕層を狙った暴動を主導する活動家たちを先導するのが兄のカルマンだと思い込んでるけど、誰もそんなこと言ってない。みんな、何か思わせぶりな言葉ばかり。


現在の帽子店のオーナーは職人の女性たちを富裕層の男たちに提供している(こんな言い方したくないけど…)。その選ばれた女性のふりをして、乗り込んでみたり、男装して活動家の拠点に乗り込んでみたり…主人公は勇気があるのか、鈍いのか全く分からない。しかも無表情。。。


確か「サウルの息子」でもそうだったと思うけど、極手前にカメラの焦点が合っていて、全景がぼやけてスクリーンに投影される場面が多くあった。これは観てる側にはあまり気持ちの良いものでなくて、そこに何か意味を持たせてはいるんだろうけど、私のように視力の悪い人間にはちょっと監督の意図したものが伝わらない(汗)。


とにかく、何かに取り憑かれたように動き回る主人公には共感できないし、どう捉えていけば良いのかも分からない。難しい映画だった。。。


この仕事をしておけと指示されて、指示した人が姿を消すとその場から立ち去り、自分の兄探しを始めたり、店にいるようにとオーナーに言われても、皆がいなくなると自分の気になることを追求するために出かけていく。この思考回路が分からない。コミュニケーション取れないタイプの人なのだろう。


ラストで戦場が映し出される。壕を掘って敵からの攻撃をかわしているが、そこを進んでいくとイリスに顔の似た兵士がいる。この時代に男装の麗人が戦場に立つワケはないし、ということはあれがよく似ているという兄なのか…


あぁ。。。ホントに何が何だか分からない(汗)