今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

新選組 粛清の組織論


今回読み終わったのは、新選組本を読み始めた頃に何冊か読んだ評論というか著者の研究発表的な論説本?


新選組 粛清の組織論』菊地 明 著(文春新書)


以下、感想。。。













江戸幕府開府以来、徳川の2代目だか3代目だかが上洛してから将軍が京の地を踏むことはなかったのだ。平和な時代だったのだ。


ところが、西洋列強が日本の開港を求めてそこかしこに大型船で威圧をかけにやって来る時代になり、朝廷のお膝元、京都には列強の強烈な圧力を排除しようと攘夷を叫ぶ不逞浪士が闊歩するようになる。


新選組の前身である浪士組は、そんな治安の悪い京都に久方ぶりに向かう徳川将軍の護衛として上洛することになった。


そして紆余曲折あり、京都で京都守護職会津藩主、松平容保のお預かりとなって、いよいよ歴史の舞台に名乗りをあげる。


幕府倒壊までの5年間で、多くの取締り現場に出動した新選組。市中取締りを主とする警察としての機能を確立し、数多くの敵対勢力を捕らえていった。


ところが、実は新選組が命を奪ったのは敵方浪士より同門、つまり新選組内部の隊士の方が多い。その主だった粛清の歴史とその粛清により成立した新選組の組織について書かれている。


いくつもの資料文献を検証した結果がまとめられている。


それでも、最後は粛清ではなく、土方歳三の戦死で終わる。粛清の歴史といいながらも、新選組の通史と言って良いと思う。だからこそ、新選組の屋台骨を支えて生きてきた土方歳三の最期まで記された。


この本はとにかく読みやすい。平易な文章で書かれている。こうして、研究者の人が直接執筆された本は、フィクションとはまた違った楽しさがある。