今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

新選組風雲録 洛中篇・激闘篇


新たな新選組小説に挑戦中!でも全5巻。長さ的にはそれほどでもないのだけど、なかなか進まない。ひとまず、読み終わった前半2冊について。。。


新選組 洛中篇』・『新選組 激闘篇』広瀬仁紀著 (文春文庫)


以下、感想。。。















第1巻の副題が「洛中篇」というくらいなので、最初から舞台は京都。タイトル通り「壬生浪士組」ではなく、「新選組」となってからの話。


もちろん小説なので、架空の人物も登場し、それがかなり重要な立ち位置にいたりするのだが、私にはどうでも良い人たちも登場し、そこにまた多くの頁を割いているので、鬱陶しい。


新選組の名を高めた池田屋事件。そこで命を落とした吉田松陰の弟子、吉田稔麿。彼とその情婦、お多加のはなしなんて、正直どうでもいい。新選組の話なんだし、池田屋事件の全体が分かれば十分。


にもかかわらず、稔麿の死後、その無念を晴らそうと長州の桂小五郎を様々な手を使って守り、幕府包囲網を脱する手筈を調え、長州へ落とす。


今、3巻を読んでる途中だが、新選組には直接の関わりが少ない桂小五郎がやっといなくなり、お多加も自然消滅かと思ったら、今度は岩倉村に謹慎中の岩倉具視の隣に登場する。


この女の人、はっきり言って、ファンタジーな人で、江戸で名を成した盗賊で、稔麿を追って京都に来たことになってるので、裏社会には顔が利く。幕府やその他、捕物方の目と鼻をあかすことを苦もなくやってのける。


今時の映画に登場するハッカーのようだ。「おい、おい、そこまでやっちゃう?」という何でもありのスーパー架空の人物。この人の尽力があって、世の歴史的事件が上手く進んだような書き方…ちょっと面白くない。


そのためか、読むスピードも一向に上がらない……あと3冊もあるというのに……かなり前の著作で、既に文春文庫では絶版になっている作品だから、古本で探して読んでるわけだが、表現方法として、最近の文章の運びと違い、独特で、さらに「てにをは」の使い方が旧態に近いことも足を引っ張ってる(汗)慣れない文体は難しい。


「激闘篇」も激闘というほどのことは描かれず、山南の脱走については土方が追手になるなど、微妙に史実と違っていて、新選組研究は最近になって本格化したんだなぁとつくづく思う。


新選組は隊長の近藤勇より土方歳三がコントロールしていたと言わんばかりの展開で、まぁ、いつの時代も土方の人気は高いのだなと思う。


新政府に楯突いた男、土方歳三。旧幕府関係にはその象徴となった人。明治政府も彼の軍人として力量を認めざるを得なかったとは思うけど、反政府の象徴を武士の時代のように「敵ながらあっぱれ」と称えるわけにもいかず、徹底して「悪」として切り捨てるより他になかっただろう。


いろんな資料や小説に触れれば触れるほど、彼は一人の「喧嘩屋」だったのだなぁと。それが時代の流れに押し出されて、天下に広く名を知らしめてしまった。圧倒的な身分の重しの中で自分達の足場を築いただけなのに…


戊辰戦争終結に時を合わせて、命を落としたのは誰よりも筋を通した生き様だったように思う。共に戦った旧幕府中枢や新政府の人間からすれば、英雄のまま生ききったのだから、悔しい思いが先にたったろうことは想像にかたくない。


残り3冊。どうにも好きになれない女盗賊、お多加や老獪な岩倉具視などのために時間を割きたくない。なんとかスッキリと読んでみたいが…