今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

土方歳三(上・中・下)


文庫本のカバーがオシャレというか、カッコいい(笑)ただ、このカバーが同人小説的な雰囲気を醸し出してて、ちょっと手を出さずにいた。


土方歳三(上・中・下)』富樫倫太郎 著(角川文庫)


以下、感想。。。















富樫倫太郎さんという作家を知らなかったので(申し訳ない…汗)、カバー絵が妙にカッコいいので、ヤングアダルト系か同人小説的な作家さんかと思って、ちょこっとレビューなんぞをチェックしてみたら、全然そんな作家さんじゃない!


ならばと言うことで、上中下を一気に読みました。浅田次郎さんや京極夏彦さんを読んだ後では、なぜ3分冊なのかと疑問に感じるほど軽量級(汗)だから、1日1冊ずつサラッと読めた。


とにかく、土方歳三だ!


京都での新選組の日々は史実がしっかりとしてるし、今までも多くの小説が書かれているので、富樫さんはあまり世間が触れてないところに手をかけていた。


試衛館に辿り着くまでの土方歳三だったり、京を後にした土方歳三だったり…


上巻は「青春時代編」、中巻は「新選組編」、下巻は「函館戦争編」とサブタイトルが付いている。確か単行本は上下巻だから、文庫化した時に付いたサブタイトルね。


まぁ、土方歳三という人は誰が描こうが、カッコいいわけで、富樫さんの描く土方歳三も当然カッコいい。


でも、カッコいいだけじゃなく、新選組の中ではかなり孤立してる感じだね。孤立っていうのとは違うのかな。独自路線っていうか…誰に対しても変わらない対応。それは近藤さんにも…


蝦夷地に立ってからは「軍神」のように評価されていたらしいが、それは彼が戦について非常に賢い頭を持っていたからで、元々はお百姓の出で、家伝薬の行商をしていた青年がいかにそれほどの力をつけて行ったのか…


本作では榎本武揚から渡された英国の戦略本を読んだことには触れてるけど、今まで読んだ本にもそれにはあまり触れてないし、せいぜい本作と同じような感じ。


その程度の知識習得で誰もが認める戦略家になるとはいったいどうしたことなのか…ほんとに天才だったのかもね。


世の中に登場して数年で命を落とした土方歳三。その数年は人の何十年分ほどの充実した日々。この幕末を生きながらえて、明治に生きるイメージが全く描けない。まさに時代の申し子な土方歳三


ただ、最後に一言。また、函館までやってくる女の人が!この時代、女1人で船に乗って函館なんて、よっぽどです。それほど好きな人だったのだろうが、この時代、土地が離れれば終わりではないのか?そこだけがなんだかなぁ…と。


小説だから、史実を発展させて描くのはOKだし、それが面白さに繋がるならむしろ大歓迎。でも、あの時代に女1人で荒波を越えて函館にやって来るなんて、ちょっと受け容れられない。元々現実離れしてるものが、より離れていってしまう印象だ。