今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

アリー/スター誕生


レディ・ガガが出演する映画として、かなり前から話題になっていた本作。公開2日目に劇場へ。


フレディ・マーキュリーの成功と苦悩を中心としてロック・グループのクイーンを描いた「ボヘミアン・ラプソディー」の非常な大ヒットのせいなのか、事前の注目度からすれば、シネコンの1番大きなスクリーンを割り振られていると思われる本作が2番手スクリーンで公開されるという残念なスタート。


でも、映画自体は素晴らしかった。ただし、長い!135分はちょっと長い…


お話の内容は特別新しいものではなく、挫折を味わったアーティストが自分を見出してくれた人のおかげでスターダムをのし上がっていくサクセス・ストーリー。ただ、見出した側は、自分が見出した原石の燦めく才能にいつしか押しつぶされていくのだが。。。


よくあるパターンと言えば、パターンなお話だ。「スター誕生」という映画はこれで4回目の製作になるそうだ。最初はハリウッドを舞台とした役者の話だった物が3作目から歌手を主人公に話が再構成されたそうな…


スター・ミュージシャンである男は、兄であるマネージャーの管理の元で全米をツアーを行いながら、旅している。彼ら兄弟には亡き父親の呪縛があるらしい。


そんなツアー中に立ち寄ったバーでアルバイトの傍らステージに立つ女性シンガーと出会う。彼女には才能が溢れていた。ただ、チャンスに恵まれなかった。


男は、自分のステージに彼女を立たせ、その才能の開花に手を貸し、2人は愛し合い、結婚する。


その後、彼女は自分のこれまでのスタイルとは違うマネージメントに応じてスターへの階段を登っていく。


彼女のスタイルを守りたい男と新たなスタイルを受け容れていく女。夫婦の関係も微妙に揺らいでいく。


華やかな妻の活躍の陰で徐々に明らかになっていく夫の焦燥感と行き詰まり。その遠因は、父親との確執にあることもわかってくるが、本作はどちらかというと後半の妻の成功にスポットを当てるので、夫の過去、父親を含む家族の問題や夫と出会う前の妻の挫折の状況などは描かれておらず、ストーリーを追う中で、多分こうなのだろうと想像するしかない。


そこが、残念と言えば残念。脚本の段階でこういうお話だったろうから、あくまでも「成功」にポイントが置かれた映画なのだ。でも、その前段階のフリがないと説得力が薄れる気がする。


男によって見出され、成功を手にした女が、挫折の日々から救い出されたかのようであるが、その実、自分の人生を賭ける原石を見出したことで、彼こそが救われたのだろう。


でも、その原石は自分の手の届かない高みに飛躍していってしまった。彼に残された物はもう何も無い。。。


最後は哀しい映画だった。。。


途中から隣の席のお姉さんがオイオイと泣き出して、ドン引き。確かに感動はしたけど、そこまでは(汗)


主演の2人、ガガ様はミュージシャンだから、当然ながら素晴らしい歌声を披露し、ブラッドリー・クーパーはなんと多才な俳優なのだと驚かされ、そういう意味でも凄い映画だった。


私はレディ・ガガについてはどんな歌を歌ってるかもよく知らないので、奇抜なメイクを施している姿しか見たことがなく、普通の女性としての彼女の姿を見たのは初めてかも…


歌手として成功していく姿など本作は彼女の今を1番反映していると思えるし、俳優としても素晴らしかった。


ちょっと長いけど、満足度の高い映画だった。