岩波ホールで12/15公開になった「葡萄畑に帰ろう」は、今話題のジョージア映画。
確か、少し前に岩波ホールでジョージア映画祭ってやってなかったかな?
今回はそうした特別上映ではなく、ちゃんとしたロードショー公開。ホームページの混雑状況には全ての回で余裕ありってことだったけど、本作の前に公開されてた「ガンジスに還る」より混んでた。
30分前以上に行ったのに整理券は40番代だった。そして、客層はいつにも増して高齢化。元々、岩波ホールのお客さんは高齢の映画好きの方が多いのだけど、今回は特に…
チケット売り場で私の前後数人、全てがシニア料金!
シニア世代の方々が若い頃にジョージアが話題になったことがあったとか、テレビか何かでシニア世代向けに紹介されたとか、何かしらあったのではないかと思うくらい(汗)
お話の内容は、政界で大臣席に就いた男は、その象徴として「椅子」を購入する。「ボス・チェアー」と書かれた木箱に入って届けられた立派な椅子。ちなみに、この木箱は映画のオープニングで空かやらやってくる!!
そして、この座り心地の良い椅子に長く座ることもなく、彼の所属する政党が選挙に敗れ、その立場を追われてしまう。
さらに追い打ちが!なんと、在任中に手にした物が違法だったと分かり、家を手放さなければならなくなる。
彼は保護を求める移民を排斥する仕事を進める大臣だった。その仕事上知り合った、排斥される側のマリオン・コティヤール似の美しい女性と恋に落ちる。なんとも皮肉な成り行きなんだけど、その彼女と再婚し、幸せの絶頂にある時に家の問題が起こるのだ。
踏んだり蹴ったりの主人公。
この映画は、政治風刺劇とでもいう内容なのだろうが、その進行役はなんと主人公が象徴として求めた「椅子」なのだ。
ファンタジーと言えば良いのか…さすが、空からやって来ただけある(汗)
なんとも不思議なお話だ。
いろんな事があって、結局、主人公は家族との再生の日々を田舎で葡萄畑を営む実家に身を寄せて送る。ようやっと落ち着いて暮らせるようになった頃、かつて、彼の部下で下働きのような仕事をしていた男が、なんと、大臣どころか首相になってしまう。
憤懣やるかたない主人公。怒りが頂点に達し、椅子を崖から落として壊してしまう。
そこで、ラスト。あの椅子はまた次のご主人を探して旅をするのかな(笑)
椅子の擬人化は別に不思議でもなんでもなく、結構面白かった。真面目に観てて良いのか、コメディとして受け止めて良いのか、ちょっと判断に迷う不思議な映画だった。