今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ファースト・マン


久しぶりの更新です。広瀬仁紀さんの「新選組風雲録」をなかなか読み進められなくて、外の寒さと風邪のせいで映画を観に行く機会もなく、やっと更新できるネタが!


「ラ・ラ・ランド」のチャゼル監督とライアン・ゴズリングのコンビでの新作。正直なところ「ラ・ラ・ランド」がどうしてあんなに評価されたのか全然分かんなかったので、今回はどんなものかと。。。(汗)


今回は、世界最初の月への一歩を感動物語に仕上げるのではなく、淡々と描いていた。「ラ・ラ・ランド」の印象から、感動を歌い上げるよう(別にミュージカル式にということではなくて…)に描くのかと思ってたら、全く違った。主人公は誰もがその名を知ってる月面着陸を果たしたアームストロング船長だ。


淡々とその時までを描く前半。大切な娘を小さいうちに脳腫瘍で亡くし、主人公はその痛みを誰にも打ち明けず、ただ自分の胸の内に仕舞い込む。何をするにもその痛みがついて回る。


だが、誰もそんな彼の感傷にはかまってはいられない。彼の仕事は月への飛行を挑むパイロット。まさにその時、世界初の月への挑戦を巡るソ連との競争がどんどんと加熱し、結果、慎重さを欠き、事故も相次いでいた。そんな過酷な状況下で次々と大切な仲間を失っていく。


こうして、主人公は危険な挑戦に身を委ねていくが、家族にしたら堪らない。多くを語らない主人公にいつの時も冷静さを与え、支えているのは、死んでしまった娘との時間だった。


後半というか、最後の方で月面着陸船が切り離されてから月面に着陸するまでは、観入ってしまい、結果は十分知ってるのにハラハラしどうしだった。このシーンだけなら4DXが最高じゃないかな。


歴史的な一歩を刻みつけた瞬間の静けさは、まるで私も主人公の側に立って、同じ風景を見つめてるような錯覚を抱かせる。


ドキュメンタリー風の映画で、だからこその淡々とした描き方だったのだと思うし、主人公の冷静さに添った流れでそうなったのだと思っていた。


観ている時は、娘の死が主人公に冷静さを与えているという印象だったが、観終わって考えてみると、娘の死は主人公から感情を奪い去ってしまったのではないかとも思える。


だから、どんな状況に陥ろうとも冷静さを失わなかったのではないかと。元々、過酷な状況下でも冷静な判断ができ、飛行差し止めになるほどの挑戦をしてきた彼だから。


感情的に盛り上げようと描かなかったことが、この映画の全てであると思う。だからこそ、歴史的一歩を当時オンタイムで見られなかった人たちに伝えるという大きな役割を果たしてるとも言える。


前半のなんとも言えない眠さに耐えるためにもしっかり体調を整えて観に行ってください。