今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

エジソンズ・ゲーム


コロナ感染症拡大による緊急事態宣言が解除され、しばらく経ち、街に人も戻りつつあるが、やはり、密室への帰還はそれなりに緊張するものだ。


万全の対策を打って、営業を再開した映画館。換気については、法律上も規制があり、それを守らなければ営業は出来ないはずなので、より敏感に対応していると思ってはいるが、いざとなると二の足を踏む。


とりあえず、自粛前に手に入れていたムビチケ「エジソンズ・ゲーム」の公開まで待って、映画館に行こうと決めていた。


公開延期になった作品が次々と公開日を設定し始めたが、6月に即公開という作品は意外に少ない。自粛前に試写会などの手配を済ませていた作品からの上映開始だ。


ということで、全国、県境越えが解禁となった今週、地元で鑑賞(汗)。まだ、有楽町へ行く勇気は無い。ましてや、渋谷とか新宿とか、ちょっとハードルが高い。


200人ほどのスクリーンで、前後左右1席ずつ空けてのチケット販売。私の観た回は鑑賞者は全部で10人。私以外は全て男性。思いっきり、ソーシャル・ディスタンスが保たれている快適な鑑賞空間。人の気配すら感じないほど1人、1人が離れてる。ポップコーンを摘む音すらしない静寂。観る側には超理想的な鑑賞環境ではあったけど、これでは商売厳しいなぁとも思った。


そんな中で、しっかり映画の世界に浸ってきた。


電流には直流と交流があって、人々の暮らしに灯りを届けるため、どちらの設備を採り入れるかを賭けて、「電気戦争」が起きる。


片方は直流を推すエジソン。もう片方は交流を推す初めて聞いた名前の人(汗)。しかし、結果は交流の勝ち。エジソンはエキセントリックな人で、自分を信じて疑わない人。ただ、強い信念は持っている。自分の仕事が人を傷つけるものであってはならないというもの。


だから、安全な直流を推す。だが、直流はお金がかかる。1人、2人の少人数ならいざ知らず、国中に電気を届けるとなれば、金がかかるものはいくら安全とはいえ、普及には大きな問題となる。


そこに交流電流を使えば、エジソン式に比べ、安価で大量に送り届けられるという「敵」が現れる。


エジソンは自分の仕事に自信があるのだろうが、それだけでは満足できないらしい。勝たねば気が済まない。なかなか、エジソンってクセがあって、嫌なヤツだったのね…と(汗)。


そして、こういうクセのある役をやらせたら、ベネディクト・カンバーバッチはとってもハマる。電気戦争に負けた後、勝った相手と万博会場で短く言葉を交わすシーンが印象的。勝つためなら、平然と汚い手を使い、目つきが怪しかったエジソンがまるで憑き物が落ちたかのようにスッキリとした表情だった。それほどの戦いをしてきたとその表情1つで語ってみせる。


相手方のマイケル・シャノンもなかなかしたたかだが、その奥さんは明らかに根性悪そうに描かれていた。ホントにそんな人だったのかしら(笑)。エジソンの感じの良い奥さんが早くに病で亡くなったことに対比させるためなのか、高慢ちきそうで感じ悪って印象だったな(汗)。


マイケル・シャノンも口ではエジソンと共に協力したいと言ってはいたが、彼にそう言わせたのは戦争中(南北戦争?)のある出来事がきっかけだったらしい。そこで選択した自分の行動にずっと後ろめたいものを感じていたのか。途中まで何度も何度も繰り返されるその回想シーン。でも、結末が描かれたのは電気戦争終盤だった。


アクション映画のように特に山場があるわけではないのだが、観入ってしまう、そんな映画だった。


ベネディクト・カンバーバッチマイケル・シャノントム・ホランドニコラス・ホルト…豪華キャストでじっくりと楽しめる。