今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ジョジョ・ラビット


令和2年…今年初鑑賞は「ジョジョ・ラビット」。もうすぐ1月も終わっちゃうのに…1月は傑作の渋滞と言われるほど注目作の公開が相次いでるのに…この時期に初めての1本(涙)


いろいろと環境も変化し、更には年齢も上がり、都会が遠くなっている昨今。これからも劇場に行く機会は減っていくだろうなぁ…(涙)


さて、本作。


監督のタイカ・ワイティティさんは出演もしてるよね?今後「スター・ウォーズ」に関係してくるような記事も読んだ。真偽はさておき、それだけ注目の監督さんということね。


主人公は10歳の少年ジョジョ。ウサギのように臆病だからと名付けられたジョジョ・ラビットの愛称とは言わないな、蔑称かな。


でも、彼は臆病なのではなく、優しいのだ。そして優しさを貫き通すために強く成長する物語なのだ。


監督本人がヒトラー役で登場するが、別にヒトラー本人に成り切るわけでもなく、かなりあやふやなヒトラーだ。それはなぜかと言えば、この映画に登場し、ジョジョと親しく語るヒトラージョジョの空想した友達だから。


ヒトラー本人がどんな人かも知らず、世間の熱狂に煽られ、伝え聞くヒトラー像を自分なりに形にした姿なのだ。世間で言うところの勇敢さを保たないジョジョは空想の友達に励まされ、いや煽られ、ナチス少年兵のキャンプにやって来る。


ここで自らの過ちで事故にあい、前線への配置は見送られ、召集令状やビラ配りの仕事を言い渡される。第二次大戦終盤はこうした小さな子どもも戦地に駆り出され、戦争支援の活動をしていたのか…


自分の考えを強く持つジョジョの母親にスカーレット・ヨハンソン。戦地で怪我をして、少年兵キャンプの責任者になった幹部兵士をサム・ロックウェル。この2人が素晴らしい。


ジョジョは母の留守中に家の物音に不審を抱く。壁に隠された小部屋に潜む少女を見つけて、恐れおののく。死んだ姉に似たユダヤ人少女。


ここから2人の交流が始まるが、ジョジョは悩むのだ。ヒトラー・ユーゲントとして通報すべきなのか、通報したら母や自分はどうなるのか…


この悩みと少女との交流がジョジョを成長させる。


靴ひもが上手く結べないジョジョ。母が優しく結んでくれる。ジョジョの中で靴は母と結びついている。その靴を町で見つけたジョジョ。それは彼に決断を迫る悲しい事実を突きつける。


映像の感じやタイトルからコメディなのかと思っていたが、それは少し違う。いや、だいぶ違う。


実は途中何度か寝落ちしそうになった。通路を挟んだ隣の席のおじさんは爆睡だった。ビートルズの曲から始まるオープニングは、当時のヒトラーに熱狂するドイツの人々を映し出し、ビートルズに熱狂する少女たちを思い起こさせる。そのためのビートルズなのかなと思いながら、そのインパクトの強さに期待が高まったのだが、話が進むにつれ、その強い光が失われていく。


これは意図したことなのか…ヒトラーへの熱狂が頂点に達し、破滅の道に突き進み、いよいよ追い詰められた時期がこの映画の舞台だからなのか…


大切な物を失い、信じた物に幻滅し、ジョジョは成長する。そして、自分の思い1つでどうにでもなる物が手元にたった1つ残ったことに気づく。今までのジョジョならどうしたろうか。


でも、ジョジョはその思いを払拭する。彼女の望みを叶える道を開く手助けをする。


ジョジョの成長物語として観れば、なかなかだと思うが、さてどうだろう。