今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ダイナー


お初の蜷川実花監督作品。9月に公開予定の「人間失格」を観る前に、1度蜷川実花さんの色彩感覚をこの目で観ておきたかった。


チラシの派手なイメージからどんなギラギラの映画なのかと思ってたら、意外にそうでもなかった(笑)。確かに明るい色使いではあるけれど。品のないギラギラさではなかった。


元人殺し屋の天才シェフ。彼のダイナーに現れるのは人殺し。人殺しに食事を提供するのがこのお店。この店がお話の舞台。


そして、その店にやってくるのが……親の離婚をきっかけに母に捨てられた少女は、自分を「要らない」人間だと思いこんでいた。そんな彼女が、一目見て気に入った色とりどりの外国の町。そこへ行くために怪しい高額バイトを始めたのだが、途端に命を狙われるハメに。


そして、彼女はダイナーに売られてしまう。。。


そこで、毎日怪しく危険なシェフとお客たちに囲まれ、本当に自分のやりたいことを見つけ出す。


豪華出演者に目を奪われるが、あまりにメイクが独特なので、すぐには分からない人たちもいて、お話の舞台がダイナーの本筋、お店の中に入る前に登場した斎藤工くんや金子ノブアキくんはギリギリ分かった感じ(汗)。


そして、美しい花々に囲まれた店内での殺し屋たちとのやり取りは蜷川実花監督独特の色使いで進行する。これは好きな人には堪らないだろうが、慣れない人間にはちょっとキツい(笑)。


なんでそこに花びら?って感じで、まぁ店内に飾られた花が、殺し屋たちの争いに巻き込まれて舞っているということなんだろうけど。。。


色とりどり、赤やピンクが多く活用された映像。写真としては美しいのかもしれないが、映像としてはどうだろう。対象が動くわけだから…写真はその一瞬。映像は連結。アクション・シーンなどはカット割りの部分がなんだか写真の継ぎ接ぎのように見えてしまって、ちょっと残念かな。


あくまでも、色合いの美しさで勝負というスタンスなのだろうな。


ストーリーの方は特にひねりがあるわけではなく、ある意味王道。過酷な状況を生き抜いて、少しずつ少女が成長し、自分を見出す話。そこに力を貸したのは、彼女を厳しく鍛えたシェフ。2人の中に芽生えた絆。


1年前、殺し屋たちのまとめ役だった親分が事故で死んだのだが、その死に疑問を感じて調べ始めた1人の殺し屋が、姿を消した。親分を亡き者にし、跡目を狙った人物が牙を剥き、殺し屋同士の勢力争いが起き、シェフと少女は巻き込まれてしまう。


いよいよ追い詰められた時、シェフは少女に未来を託す。


そして、ラスト。命からがら逃げ出した少女は、夢に見た美しい町で小さなダイナーを開いた。そこに待ちわびた懐かしい顔が…


このラスト。「ジェイソン・ボーン」のラストにそっくり〜!場所や設定は違うけど、そっくり〜!と思ってたら、「ジェイソン・ボーン」見直したくなった(笑)。


場内は平日の午後にもかかわらず、若いカップルがいっぱい。血なまぐさい男たちの殺し合い映画ではなく、豪華キャストによる色鮮やかで華麗な(?)殺し合いに場を借りた映像マジックだった本作。こういう作品を楽しむのはやっぱり、若者たちなのね。


おっちゃん、おばちゃんがいっぱいの劇場もガサガサ、ゴソゴソうるさいけど、若者たちは別な意味でうるさい。予告編の間、ずっと普通の声で喋り続ける男子高校生。なにしろスクリーンの音がはっきり聞こえないほどだったから(驚)。ポップコーンをやたら音を立ててバリバリ食べるお兄ちゃん。映画よりスマホのチェックが忙しいお姉ちゃん。


映画は映画館で観るものだとは思うけど、こういう鑑賞環境が続くと、作品によっては家で静かにBlu-rayって思っても仕方ない。。。