タイトルがズバリ土方歳三!童門冬二さんの小説は前にも読んだかな?
「土方歳三 物語と史蹟をたずねて」童門冬二 著(成美堂出版・成美文庫)
以下、感想。。。
全編通して、土方歳三は「歳さん」と表記される。それは、近藤さんからの呼び名としてでなく、主人公の名前として貫かれる。
なんだか、鬼の副長に「歳さん」はちょっと馴染まない気がする。
そして、ストーリーも副題にあるように「物語」だから、仕方がないにしても、全てが歳さんの思い考える筋書きで進んでいく。
これまで読んできた史実や史談に登場した時々の新選組や土方歳三を巡る出来事からかなり「意訳」された筋書きだ。
まぁ、設定だけは踏襲し、あとはオリジナルという漫画や小説を原作にした映画はいっぱいだが、小説まで「設定」だけというのは…
著者あとがきに文庫化に際して、加筆修正したと記されている。それが1995年のこと。今から24年前だ。その段階では、この内容でも構わなかったのかなぁ。
ということはそれ以上前に出版され、文庫化されている作品は、史実においても、明確でない部分を著者の判断で脚色しているということになるな。
「燃えよ剣」を読んだ時にも多少そんな印象を抱いたけど、本作ほどではなかったなぁ。あれは、途中から土方歳三の恋愛小説になっちゃったから、端から史実云々する気も起きなかったのかも(汗)。
「燃えよ剣」の映画化。岡田准一が土方歳三で公開されるようだけど、どうなんだろうなぁ。。。
小説本体より、章ごとに本文に登場した史蹟の案内が出ている。こちらも副題にある通りで、物語一辺倒でなく、史蹟ガイドとしての役割をもった小説ということになるのね。
童門冬二さんは、文章の運びから西郷隆盛や勝海舟がお嫌いのようで、その点では私も納得なんだけど(笑)。