今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

誠意


いつのことだったか、フジテレビのドラマ「北の国から」が全盛の頃、吉岡秀隆さん演じる純くんが交際していた女の子を妊娠させてしまった話があった。


互いに学生で、先の見通しも立たない2人は例えばできちゃった結婚という結論を見出すでもなく、親同士の話し合いに任せ、そして、純くんは逃げた。確かに責任の取り方について、純くんにはまだ考えもなかったのだろうが、あまりに卑怯な振る舞いに、相手の女の子(確か、宮沢りえが演じてたような…)の方が自分の父親の考えを受け入れ、別離の道を選択する。


それを純くんは胸を撫で下ろして受け入れた。この場面を見てからの私は一気に「北の国から」への興味を失った。


この時、純くんの父親、田中邦衛さん演じる五郎さんは相手の女の子の家に挨拶に出向く際、リュックいっぱいに自分の痩せた土地で収穫したかぼちゃを詰め込んでやってきた。


五郎さんにとっての「誠意」は極寒の大地で必死に育て収穫した農産物だった。命を賭けて収穫した農産物は彼の命の代わりと思ったのだろうか。。。かぼちゃがゴロゴロと転がる様は背筋を凍らせた。


「誠意」って人それぞれだとは思うが、これはどうなんだろうと五郎という人を心底軽蔑したのを覚えている。当事者の純くんにすら冷たい目で見られた五郎さん。純くんがもっとちゃんとしてればこんな事しなくても良かった五郎さんではあるが…


言葉では上手く言えないけど、五郎さんの中での「かぼちゃ」の位置付けはかなり高位置なのは分かる。なにしろ、あの極寒の地で基本的には自給自足、収穫した物を物々交換したり、友人知人のお情けで得た短期労働で暮らす人なのだ。そりゃあ、かぼちゃは高価なものだろう。でも、それは世間で通じるのか。。。


純くんは自分のやったことは棚に上げて、五郎さんを軽蔑していた。その気持は分かる。五郎さん自身も純くんに対して、自分の足を引っ張る息子に腹を立てていたように感じられた。


つまり、この父子は相手に対しての謝罪より「自分」という人なんだなぁと強く感じたのを覚えている。


その後、地井武男さん演じる五郎さんの友人(名前を忘れた…)に相談し、女の子の父親の言う「誠意」を示すために、ログハウスを建て替えるために少しずつ買い貯めた丸太を手放すことにする。丸太を売ったお金には五郎さんの手の土が付いていた。女の子の父親からそれを見せられ、純くんは何を思ったのか…どれほどの事をしでかしたのか、しっかり分からせようとした女の子の父親(菅原文太さんだったかなぁ…)。


元々は火の不始末で家を燃やしてしまったのは純くんだ。その後、厳しい生活の中で再建へ向けて少しずつ準備をしてきたものをまた全て失うことになった。これも純くんのせいだ。


凄く不愉快で、救いようのない結末で、五郎さんと純くん父子の有り様に腹立たしさを覚え、その後「北の国から」を進んで見ることはなくなったように思う。その後のストーリーは宣伝などを通して少しは知っているが、もうおぼろげだ。


このドラマを見て以来、「誠意」について、自分なりに考えることもあった。息子がトラブルに合った時、こちらに非が無いにも関わらず謝罪せねばならないこともあった。その時はこちらの最後の意地で菓子折り1つ持参しなかった。そして、逆の立場になった時、我が家にやってきた相手の親が「田舎から送ってきたみかんだけど、美味しいんです。家にあったので…」とレジ袋(近所のスーパーの再利用のため、シワシワの…)にゴロンと入れて持ってきた。そして、玄関先でホイッと渡そうとしたのだ。これは五郎さんのかぼちゃだな…と思った。


もちろん、受け取らず、持ち帰ってもらった。相手の親は「これ美味しいのよ」って言ってたが、美味い不味いじゃないことすら理解できない大人がいる。なんで持ち帰ることなったのかさえ、理解できない大人がいる。これで謝罪したことにされては堪らない。別に金を持って来いなんて言ってない。謝罪なら謝罪で頭を下げろ…と。


実は今回、テレビでも取り上げられている洋菓子屋さんでケーキを買った。家に帰って、楽しみにしている家族の前で箱を開けたら頼んだケーキが足らなかった。自宅で良かった。他所へのお土産だったら、とんだ赤っ恥だ。そして、すぐにお店に連絡した時の対応が人気店としては、首を傾げる対応だったのだ。


これまでも、頼んだものが無かったとか、よくよくレシートを見ると倍近く支払ってたとかのトラブルに見舞われたことがある。その際の店の対応1つで、たとえトラブルになっても印象は大きく変わる。なにより大切なのは「迅速さ」だ。


今、食べようとして箱を開け、中身が足らないことに気づいた人間に「今から取りに来られないですか?」が第一声だったら、どう思うか。


家が近くならと言われたが、電車に乗って買いに行ったのだ。そしたら、次に出た言葉は「今は店が混んでて手が離せないから、夕方になったら届けます」だった。


コージーコーナーでもケーキを箱に入れたら、客に中身の確認をさせる。ところが、店が混んでいるせいなのか、注文を聞いてすぐ会計、そして、包装されたケーキを渡される。その間、中身を確認する声かけもない。店員はレジの注文を確認しながら、箱に入れてたので、こちらもまさかと思ってたから確認もせず、渡された手提げをそのまま手に取った。


なんとか返金は避けたいという様子がありありと電話口でも伺えた。とにかく、届けると言うのだ。もう面倒だ。返金を依頼したら口座番号を聞かれた。もう寒気がした。


口座番号など教えたくない。こんな人に家まで来てほしくない。住所を教えるくらいなら、まだ懸賞応募と同じかと思い、現金書留で送ってもらうことに。ところが、翌朝、郵便配達員さんから住所確認された上で現金書留が届いた。部屋番号が記載されてなかったそうだ。


この地域を担当して長い配達員さんだから、当然私の名前も頭に入っていて、朝イチで届けてくださったわけだ。差出人の名前を言って、心当たりのある送金か確認されてから渡された。お金に関することだから、トラブル回避のために。


これまでの飲食店等のトラブル時、連絡したら、1時間もしないうちにお店の人が訪ねてきて払い過ぎたお金の返金と謝罪があった。この姿勢じゃないかな。できる限りの素早い対応。確かに電車で行くほどの店だけど、昼頃の電話に対して早くて夕方過ぎ…は無いよ。しかも、自ら今は行けないと言ってしまう姿勢。この店、ワンオペの店ではなかったし…


しかも、住所をちゃんと記録してない…


目先の良さに人気のあるお店かもしれないけど、それと客への誠意は別なんだなぁ…他にも美味しい店はあるだろうから、もう行かない。ちなみに、かつて素早い対応をしてくれたお店には今でも行ってる…そういうものだと思う。