久しぶりの真保裕一作品。織田裕二主演の「ホワイトアウト」の原作者で、戦う役人を書いたら日本一と言われていたが、「覇王の番人」を読んだ後、私の脳内ではすっかりそんな評判が吹き飛んでしまった。それまで読んだ中で1番面白かったから。でも、本作も歴史小説ではないのだが…
以下、感想。。。
ん〜。。。
真保裕一らしいと言えば、らしい小説だと思う。どこか、熱を感じる展開で、主人公が熱苦しいタイプのお話が多い作家さんだなぁと思う。今回も結局そんな感じのお話。
初めて真保裕一作品を手にした頃は、その熱い主人公と熱い展開を面白く感じていたんだけど、度重なっていくとちょっと度が過ぎるというか、そこまで熱に浮かされなくてもと、読みながら小説の中の主人公の熱さにドン引きしてしまうようになって…(汗)
今回は、3歳の小さな女の子の誘拐という卑劣な犯罪から始まったので、かなりシビアな展開を期待してというか、覚悟して読み始めたんだけど。
話が進むにつれて、誘拐事件の現場よりそれに連なる家族や関係者、捜査を担当する警察の犯人探しがメインになっていく。
その過程で、政治家の父親に反発していた末っ子の次男が3人兄弟の中で1番清濁併せ呑む政治家に向いていたという結論が導き出される。
まぁ、それは良いけど、誘拐事件に絡んで、誘拐した女の子の祖父である埼玉の有力な国会議員への「おまえの罪を自白しろ」という要求が犯人から届いて、いろいろ後暗いところがいっぱいある政治家諸氏は大騒ぎになる。
誘拐犯の本来の目的は、地元の有力政治家の失脚でもなく、地元の汚職事件に関する糾弾でもなく、自らが起こした事件の隠蔽が目的だったわけで、なんだか、事件の顛末自体はピント外れみたいな…(汗)
一言で言ってしまうと…つまんなかったなぁ…滑り出しは期待したのに。。。
政治家たちの暗躍が本筋でもない。誘拐事件の顛末が本筋でもない。そうした様々な流れを展開しながら、政治家の父親から1番遠い場所にいた息子が転んでもタダでは起きない父親の血を強く引く政治家魂を持っていた…という着地。
なんだかなぁ。。。