今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

感染症の日本史


NHK「英雄たちの選択」にご出演の磯田先生。私、知らなかったのだけど、磯田先生って、「武士の家計簿」の原作者なのねぇ…


中国・武漢で最初に発症が報告された新型コロナウイルス感染症。世界中が翻弄され、既に1年半が過ぎた。今、日本はワクチン接種が加速している。この勢いなら、接種を希望する人は年内に全て射ち終わるんじゃない?


感染症の日本史」磯田道史(文春新書)


以下、感想。。。


















磯田先生は歴史家だと思っていたので、感染症についても語れるとは、やはり頭の良い人は違うのね。


でも、考えてみれば、感染症だろうと大災害だろうと大事故だろうと、それらが世の中の流れを変え、そこにいる人々の暮らしが変化していけば、それは確かに「歴史」なのだ。


そうなると、戦国だとか幕末だとか権力掌握の戦いだけが歴史じゃないワケで、むしろ、一部の権力者による戦いの歴史だけが「日本の歴史」として語り伝えられていると考えられる…


そこには、大多数の庶民の歴史はただの「数」としてカウントされるだけ。でも、庶民こそ、その時代の生活の中心。


ちょっとの移動にも何人も従えて籠に揺られる1人の歴史とどこまでも自分の足を頼りに歩き続ける大多数の庶民の歴史。後世に自分の好都合な情報を伝えるために様々な文書改竄ができる1人とその時を精一杯生きる大多数の庶民。どちらが歴史の中心かと言えば、大多数の庶民だ。


ところが、政治の中枢の伝えられてきた歴史に庶民の影は見当たらない。


そこでちょっと視点を変えると、また違ったものが見えてきて、そこには庶民の視点での自分の身近な生活の歴史が発見できる。


磯田先生の今回のお仕事はまさにそれだ。ただし、庶民は書き残そうと構えて書き残すわけではないので、掘り起こしが大変だけど。


現在、65歳以上の高齢者へのコロナワクチン接種が急ピッチで進んでいて、7月中には全国の自治体のほとんどが完了を見込めるところまで来ているらしい。さらに進んでるところでは、それ以下の年齢へのコロナワクチン接種の見通しも出始めたとか。年内どころか秋には希望する人は全員終了とまで言われている。


何事も真面目に取り組む日本人の気質が、こういう時に発揮される。


磯田先生のおかげで庶民に目を向けた「歴史」こそ、まさに本当の歴史だと知る。