予告編の様子から、「シャッターアイランド」の少年版かと思ってた…
あちらは、精神疾患のある患者の収容施設だったけど、こちらは青少年の矯正施設。
とちらかと言えば、「パピヨン」の少年版!!
北欧の暗く冷たい海に浮かぶ島…
国からの厚遇を受け、問題行動を起こす青少年の収容施設が作られた島…
四方を海に囲まれたこの島に収容されたら最後、少年達には逃げ出す方法は無くなる。
紳士の顔で少年達を導く院長の下、直接少年達とかかわる寮長が我が物顔で施設内を牛耳っていく。
少年達は、口に出せない不満をそれぞれの心に蓄積させていく。
どこかで沸点に達した時、その不満はどんな形になって現れるのか…
そんな緊張感が映画全編を貫く。
少年達の緊張の糸を切ることになるきっかけは、映画の冒頭で新たに島に収容されてきた1人の少年犯。
施設の掟に従わず、波風を起こし始めた彼は、脱走を試みる…
全てに諦めていた少年達は、自分の可能性に気づき始める。
彼の脱走が叶わず、連れ戻されてきても、少年達の小さな希望の火は消えることはない。
そして、仲間の死をきっかけに少年達の緊張の糸が切れる。
施設側は軍にまで力を借りて、少年達を取り押さえようとする。
卒院が決まっていた「C1」と呼ばれる少年と、全てのきっかけとなった「C19」と呼ばれる少年。
2人は最後まで捕捉されず、歩けるまでに凍りついた海を渡り始める…
結局…
渡りきれたのは1人…
彼は、島での出来事を忘れず生きていき、彼らから託された思いをしっかりと受け止めていく。
ラストで登場する数年後の彼の横顔から、どうやって生きてきたか、感じ取れる。
寒々とした海に傷だらけになった鯨が、自分の体に刺さった銛を外そうと、もがきながら、暴れ泳ぐ。
ずっしりと心に残る映画です。
感動はするけど、ゆっくりと胸を打つ波が寄せてくる…そんな感じ。