岩波ホールでの上映。
「おじいさんと草原の小学校」を岩波ホールで鑑賞して以来、特別上映の長時間映画以外は、毎回鑑賞している。
今回も既に次回上映作「最初の人間」の前売り券を入手した上での鑑賞。
これまで、どの映画も場内は大変混雑しており、今回もアンジェイ・ワイダ監督作品っていうことで、ある程度の混雑は覚悟していたんだけど…
事前に、岩波ホールのホームページで調べたら、混雑はしていないとのと。
なぜ(~。~;)?
まぁ、賢い人なら、この辺で気がつきそうなものだけど、私は気づかない((^_^;)
ホールのロビーに貼られていた説明を見て、びっくり(゜o゜;
「菖蒲」という映画、主演女優のインタビュー、「菖蒲」の撮影現場映像…
これらを構成した映画だと…
最初は、女優さんのインタビューから始まる。
そして、「菖蒲」での彼女の役どころは、医者の妻で、息子2人を幼い時に亡くしているが、それでも夫と共に静かに生きてきた。
ところが、彼女は夫に体調の変化を指摘され、診察を受ける。
彼女には、その夏を乗り越えるだけの時間が残されていないことがわかる。
苦悩する夫だが、彼女に真実を伝えられない。
この「菖蒲」での役どころは、彼女の情緒を不安定にする。
実生活での彼女は、映画とは逆の立場で、夫の死期を間近に迎えていた。
その時の心情をかたる彼女のインタビューが「菖蒲」の場面展開の際に挿入される。
そして、「菖蒲」のシーン…
祝祭のために、菖蒲を集めなければならない彼女は、酒場で見かけた若い男と池に向かう。
何もない日々に彼女が求めたものはなんだろう。彼女の死期を伝えられない夫との間に誤解を呼ぶ何かがあったのか…
菖蒲を刈りに行き、深みにハマった男は、帰らぬ人となる。
このシーン…
男を助けに向かった彼女は、必死に助けを求める男の姿を見て、パニックに陥る…
彼女は、降り出した雨の中を撮影中の水着姿のまま、逃げだし、タクシーに乗って、現場を立ち去ってしまう。
この時の慌てて彼女を探し回るスタッフの姿が撮影現場映像として、挿入される。
映画とインタビューと現場映像…
それぞれを行き来しながら、映画は進んでいく。
こういう見せ方もあるんだと…
確かにこんな実験的な雰囲気の映画だと人は来ないなぁ…でも、観終わった後、ジワジワと心にしみてくる、そんな映画だった。
「女優」という仕事、その葛藤の在処を見せてくれる映画です。