今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

映画館で思ったこと…


銀座の映画館「シネスイッチ銀座」は落ち着いた雰囲気漂う映画館。


スクリーンにかかる映画も同様で、いつも観て納得の映画が多い。


そこで観た「ハッピーエンドの選び方」。タイトルと映画チラシの雰囲気からはなにやら幸せな老後の話かと思えてくるが、内容は末期の病気が発症した高齢者の安楽死に纏わるシビアなお話だった。


そうなると思い出されるのが、同じシネスイッチ銀座で観たフランス映画「母の身終い」


収監され、刑期を終えた息子(と言っても既に壮年期)が帰ってくる。息子の帰りを待っていたしっかり者の母に病気の発症が告げられる。


病気の末期症状への恐怖、病院で死を迎えることの意味。母は自ら安楽死の選択をする。


自分が自分であるうちに死を選ぶ。母の決意に息子は愕然とする。


設定も何も全然違うけれど、自分が自分であるうちにという選択の理由は同じだ。


「母の身終い」は法的に認められている地域に自ら出向いて意思を貫くのだが、「ハッピーエンドの選び方」は違法と知りつつ友人が手を貸す。方法が違うのだ。


同じ題材を扱いながらも最も大きな違いは、映画の雰囲気。


「母の身終い」は終始一定の抑えたトーンで話が進む。決意を秘めた母の目が悲しく見えた。そして、観終わって何か重い荷物を背負わされたような疲労感を全身に受けた。


そこへ行くと、「ハッピーエンドの選び方」は主人公たちが暮らす老人ホームが白を貴重にした明るい場所だったのも大きいが、全体的に明るく、ちょっとした微笑んでしまうシーンも差し込まれていて、印象が全く違う。


もちろん、いざその時となれば静かな演出でじっくりと描かれているが、後者の方がより身近に感じられた。


こうして、同じ題材であっても、製作する人や国の違いで観る側の受け止め方に大きな差が生じる。これが映画の面白いところだ。


そんなことを考えながら、シネスイッチ銀座を後にした。直接、映画の感想では無いので別記事にした。


映画の感想で無いと言えば、今回乳飲み子と言えるお子さんを同伴された若い女性が劇場にいた。


彼女1人ではなく、同じ年頃の女性と母親とお見受けする年齢の女性とが同行していた。


何としても観たい映画だったのだろう。だから、敢えて子連れで鑑賞に来られたに違いない。


たまたま、隣の窓口でチケットを買っていたので、聞くとは無しに聞こえてきたが、隣に人の居ない席をあれこれ条件をつけて選択していた。


買った時いなくても、上映ギリギリで買われちゃうこともあるのに…


おかげでそちらはなかなか窓口が空かない。


最初は静かだった赤ちゃん。多分、寝ていたのだろう。ところが、終盤になって、いよいよ物語が佳境に入る頃、目を覚ましたのか赤ちゃん特有のごにょごにょ言う声とあぁ〜とかいう声を上げるようになった。


私としては3人も大人がいたのだから、誰かがロビーに出ると思ったのだが、結局最後まで出ることは無く、ずっと声が聞こえていた。離れた席だったから、まだ良かったが…


私の地元のマナーもへったくれも無い劇場は、大人でさえ喋ったり、レジ袋ガサガサしたりうるさい人が出没する(それはそれで気安さがあるけど…汗)が、ミニシアターともなると映画好きが集まっており、マナーも良いのが普通だ。


だからこそ目立ってしまう。


別に子連れで来るなとは言ってない。来るなら来るで、万全の対応を心がけるべきだということ。ましてや大人が何人も付いていて、最後まで退場しないという選択もあるだなと。私が付き添いの人たちと勝手に思い込んでいた同行者は、あくまで同行者だったと…


日頃身近に子供がいる暮らしの中にいると、子供の声は聞こえてきて当たり前。少々の声では気にもならない。ところが、世間一般でそういう判断は通用しない。


そこが分かっていないと、まわりに不愉快な思いをさせ、迷惑となる。まぁ、自覚していないから最後までいたんだろうなぁ。そこを自覚することは大切だと思うんだが…


映画館はお金払って入場する。貴重な時間を割いて、劇場へ駆けつけた人も多いだろう。そこで、気になる物音や声がすれば、楽しくはない。


子供は宝。人の心を優しくしてくれる。しかし、それは時と場合ということも母親自身が十分に理解して行動しないと。


せっかくお金払って、たまの気晴らしに来たのかもしれない。だから、ラストまで観たいのも分かる。でも、体は1つだから、自分が何をするべきか選択は1つしか出来ない。


私は映画が好きだったが、子供が小さいうちはどうしても足が向かなかった。子供向けの映画から始めて、徐々にその幅を広げて行ったが、それでも友人達からは慎重すぎると笑われた。


私と子供で観に行くのだ。誰も付き添いはいない。子供が声を上げれば、当然席を立つ。そこまで考えて出かけるので、子供向け映画であっても平日の朝イチとかお客の少ない時間を選んで出かけていった。


子供にも映画を好きになってもらって、大きくなったら、一緒に映画の話をしたいと思っていたので、マナーについてもうるさく言ってきたのだか。


安楽死題材の映画同様、結論の出ない話で終わりそう(汗)


私の考えはあくまで私個人のもの。あの時、劇場にいた彼女だけを責めるつもりもないのだけど、世代によって感覚が違ってきているんだなと痛感したのは事実。


ふとまわりを見れば、そんな事はたくさんあるな。