今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ブレス しあわせの呼吸


試写にて鑑賞。主人公がポリオに感染し、首から下の機能が麻痺し、人工呼吸器が欠かせない生活になったというお話の内容から、全世界で子供へのポリオ・ワクチンの接種に尽力しているユニセフの施設での試写会だった。


アンディ・サーキス監督って、モーション・キャプチャーの有名な俳優さんだったと思うんだけど、才能豊かな人なんだなぁ。


そして、このお話は実話。「ブリジット・ジョーンズの日記」などを手がけたプロデューサーの両親のお話なんだそうだ。


他の誰も経験したことのない彼ら家族の日常を追う。


誰もが心ときめく美しい女性、ダイアナ。クリケットの集まりで一目惚れしたロビンは、皆が無理だと言うなか、彼女のハートを射止め、結婚する。


誰もが羨む結婚。さらに仕事先のケニアで待望の子供を授かる。まさに幸せの絶頂期。だが、2人は突然奈落に突き落とされる。


ロビンが風邪をひくようにポリオに感染してしまう。首から下の機能が麻痺し、人工呼吸器が無いと生きていけない状態になってしまう。


嘆くロビン。しかし、言葉を発することが出来ない。なんとか意思の疎通に成功した彼は死を望む。


乳飲み子を抱え、人工呼吸器に繋がれた夫を看病することは並大抵の事ではない。良家の育ちで、何不自由のない暮らしをしてきたダイアナにとって、それはさらに過酷だ。ましてや、夫に生きる気持ちが無いのだから。


ところが、彼女は最後の一歩で踏みとどまる。死を望む夫に生きることを求める。生まれたばかりの息子のために父親として生き抜いてほしいと。


お嬢様とは思えない活発で前向きなダイアナ。病院のベッドの上でしか生きられない夫に、家族との暮らしをさせたいと思う。そのために彼女は看護師さんが担当した清拭や気管のタン取りなどを見よう見まねで学んでいく。


とにかく、1番先に逃げ出すかと思ったダイアナが誰よりも1番粘り強く夫を支え、外に関心を向けようとしなかった彼が、息子の成長する姿を生きる希望と捉えるようになるまで、諦めることなく献身的に看病を続けた。


なんと強い女性なんだ。彼女の勇気には圧倒される。こんな母親に育てられたからこそ、息子は真っ直ぐに成長していったのだろう。


ロビンは当時としては他のポリオ患者より長く生きた。愛する家族と素晴らしい友人に囲まれて生き抜いた。


この夫婦の生き方はとても感動的ではあるけれど、私が簡単に「感動した!」なんて軽々しく言えないと思った。そのくらい、この夫婦の人生は深く訴えてくる。確かに泣ける映画だけれど、そういう意味で、号泣映画とは言えない。


障害をどう捉えるか。その姿勢でその後の人生の意味は大きく変わってしまう。あなたなら、どうする?そんな問いかけをされたかのようだった。