今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

トールキン 旅のはじまり


恥ずかしい。。。私、トールキンって「ハリー・ポッター」書いた人だと思ってた。。。


映画冒頭、第一次大戦塹壕の中に横になる男が登場する。それが、トールキンなのだが、「あれ?ポッター書いたの女の人だし、まだ現役だよね…」と一気に頭が混乱する。そして、多分、作家なのは間違いないから、とりあえず観てみようと頭を切り替えて観始める(汗)。


男の子2人を抱えた母親が神父の手助けを得て、再出発しようとするオープニング。父親を亡くし、家族はそれまでとは違い、町の片隅で貧しい暮らしを始める。


ところが、元々病気持ちの母親はある日突然この世を去ってしまう。神父は2人の兄弟が優秀なのを知っていた。2人の才能を惜しんだ彼は、篤志家の老婦人に彼らへの援助を請う。


おかげで、本来なら有力者で財力ある者しか通えない学校に彼らは進学できることになった。しかし、子供は残酷だ。転入してきたトールキンを早速貶めようと悪巧みを実行する同級生が現れる。


立て続けに両親を失い、辛く貧しい生活から彼らを守ったのは神父や篤志家の老婦人の好意ではあるが、彼自身を守ったのは、母親が残してくれた「教養」だった。いくつもの言葉を理解し、古英語という当時学問として成立していた古典的な言葉も不自由なく理解できた。言葉には豊かな素養があった。母親が彼に残してくれた物、彼はそれで道を開いた。


最初はトールキンをからかった同級生もいつしか彼と語ることを楽しみ、深く強い絆を結んでいく。その友情は長く長く続き、戦場で命を落とさんとする1番苦しい時に彼を救い出す。


極限状態での幻覚と言ってしまえば簡単だが、明らかにトールキンは戦場で友の姿を見、友の声を聞き、そこに向かって進むうちに苦境を抜け出したのだ。


トールキンと3人の友人の素晴らしいところは、互いを知り、たとえ耳に痛いこともしっかりと伝え合うことだ。


例えば、校長の息子が父親の理不尽な対応に挫けそうになると、黙って、側に立ち、彼の勇気を鼓舞する。例えば、トールキン奨学金が打ち切られ、退学が現実のものとなると金持ちの彼らが親に援助を頼むような姑息なことはせず、トールキンがどうしたら彼の力で大学に残れるかを考え、励ますのだ。


彼自身の力で困難や悩みを打開するためにそれぞれが考える。そんな真っ直ぐで正直な関係が築けた4人の青年はどれほど幸せなことか。彼らが共に支え合う姿は今の世では忘れられてしまった人との繋がりの原点を見せられてるようだ。


ラスト。トールキンはペンを執る。ホビットの物語を書き始めるのだ。


そうか!「ホビット」の人か!「指輪物語」が有名で、映画「ロード・オブ・ザ・リング」はアカデミー賞でも評価された。しかし、残念ながら、私はみんながすぐに思いつく「指輪物語」を読んだこともないし、「ロード・オブ・ザ・リング」を観たこともない(汗)。でも、「ホビット」はちゃんと観てる。とっても面白くて、ホビットたちの勇敢さに心打たれた。ホビットたちの友を思う強い気持ちに心打たれたわけだが、それはトールキンを巡る4人の関係がもたらしたものなのだろうな。


4人のうち2人、詩人を目指していた友と校長先生の息子は戦地で亡くなり、生きて還った1人も心に深い傷を負い、作曲家の夢も果たせなかった。トールキンは、小説の中で彼らの分まで、彼らと共に夢の世界へ冒険に出たのだ。