今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ブルーアワーにぶっ飛ばす


試写にて鑑賞。女性のみの試写会。若い人が多く、果たして私のようなおばさんにも共感できるものなのか…ドキドキで鑑賞開始。


結果、共感できる部分が圧倒的に少なかった。。。93分という映画として理想的な尺にも関わらず、非常に長く感じたのがその証拠。これは、若いとかおばさんとか年令によるものではないと思う。造り手には十分と思われた表現も観る側に伝わらなければ意味が無い。最近の邦画に多い説明過多とは真逆の説明不足。それは尺の長さとは無関係。


なんだろうな…伝わってこないんだなぁ。帰宅後、会場で貰ったチラシのあらすじを読んでなんとなく理解が及ぶという状況。終映後、監督を交えたトークショーがあったらしい。スペシャル・ゲストも登壇するということだったから、そこまで聞けば分かったのかもしれない。私は家の事情でお先に失礼してパスしてしまったが…


でも、その場で観て感じられないと映画としてはちょっとね…


まぁ、「ブルーアワー」の意味くらいは調べておけば良かったと思ったけど。三谷幸喜の「マジック・アワー」の時には確か本編でセリフに乗せて説明してたよなぁ。本作はそれが無い。確かに日の出前と日の入り直後の妙に濃い青空は全編通して何度となく登場し、この色合い、この時間が主人公の生きる時間とリンクしてるんだなぁとは思ったけど。


映画「新聞記者」に続き、シム・ウンギョンが出演している。コメディエンヌとしても評価の高い彼女の明るさを十分に発揮する役どころだ。主演の夏帆をはっきり言って呑み込んじゃってるな…ホントに上手い女優さんだとあらためて感じた。ちょっとした表情の変化でちゃんと伝わってくる役者さんだ。その点、主人公にその微妙な機微を感じさせる表情が乏しかったために説明不足のような印象を強く受けたのだろう。尺を長くしなくたって、ちゃんと伝えることはできる。


異国の言葉で演じるために日本語のイントネーションの点で多少の微妙さはあったけど、それでも芝居の上手さを落とすことはない。現在の日韓の関係を考えると彼女が日本映画に出演したのはまぁ時期的にギリギリセーフでの撮影だったのだろう…


そして、彼女が演じた「キヨラ」がなぜそこにいるのか。それがラストに明らかになるのだけど。。。そういう結果なら、もう少し分かりやすく演出してもらいたかったなぁと…


全然、気が付かなかった。確かにそのカラクリに早々気づいちゃうのも興醒めだけど、「そうだったのかぁ」という驚きもない。「いったい、何だったんだ!」という驚きしかない。


本編中に、きっとヒントはあったんだよね。それが「ブルーアワー」の時間の、主人公の子供時代のフラッシュバックなのかな。でも、マジックじゃないんだから…「そうだったのかぁ」という、ストンと収まるように全てが腑に落ちる瞬間があっても良かったのに。


単に私に理解力が無いだけなのか…そういう意味で、ちょっと難しい映画だった。ヒントをヒントとして感じ取れなければ、楽しめない。


1番分からなかったのは、主人公の苛つきの原因というか、まぁ何かに絶えず苛ついてるんだろうなとは、彼女の態度や発する言葉で十分分かるけど、それはセリフとして口にするから聞こえるだけで、主人公の姿から感じられなかったんだよなぁ。隣にシム・ウンギョンがいたために余計にその点が強調されちゃって…同じ年頃の女優さんのガチの共演って、モロに力の差が表面化しちゃうから、主人公を演じた夏帆さんにはちょっと可哀想ではあったなぁ…


夏帆さん、可愛らしい女優さんではあるけれど、いくつか見た作品(ドラマも含む…)ではいつもちょっと口を尖らせてるような役ばかり…今回もそうだ。黙っててもそんな表情が出せると見るか、ワンパターンと見るかでずいぶん印象が違ってくる。


監督はCMの世界で腕を磨き、本作が長編第1作らしい。ちょうど主人公と同じ女性監督。自分の現状をヒントに製作したのかな。この若いクリエイターは本作でいくつかの映画祭において新人監督として評価を得たらしい。


今回はちょっと私には無理だったけど、次に作品を観る時は、どんな感じになってるか、楽しみではあるな!(なんという上から目線…汗)