今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

新聞記者


駅の目の前で、観やすくて、あんまり混まない、好きな劇場、角川シネマ有楽町。ところが、本作はトークショーのあった昼の回と私が観た午後の回が満席。ちょっとびっくり。。。


主演は、松坂桃李だと思っていたが、映画を観たら、そうではないことが分かりました。主演はシム・ウンギョン!


子役からその才能が高く評価されてきたけれど、彼女がど真ん中に立った主演作ってなんだろう。日本をはじめアジアでリメイクされた「怪しい彼女」、こちらも日本でリメイクされた「サニー」。「サニー」は群像劇風だったので、ピンで主演とは言い難い。いくつか観てるけど、私はイ・ビョンホン主演の「王になった男」での女官の役が印象に残っている。僅かな出演ではあったけれど…なにしろ上手い役者。


今回は外国で、さらに彼女にとっての外国語で全編通す難しい役。アメリカ育ちで言葉に壁があるって役にして、同僚たちの会話にもその話を登場させるなど、彼女のイントネーション等含めたセリフ回しのたどたどしさをカバーする設定になっている。


確かにちょっとイントネーション等は気になったが、努力賞をあげて良いのではないか。彼女は出自が在日だったり、過去に日本在住の経験があるわけじゃないだろう。物凄い努力は認めたい。ただ、本来なら日本人の女優が演るべき役をなぜ外国人に、とも思う。「反政府」のイメージが付きそうで敬遠されたという記事を読んだが、それほどでもないだろうに。


導入部に使われた、女性記者の事件や文科省官僚の事件など、つい最近まで世間を賑わせていた案件とそっくりだ。既にテレビで、世間で語り尽くされたことなのに。それでも、出演にはハードルが高いのか。


まぁ、女優はイメージが大切だからね。。。


正直、導入部で見せられた現実の事件を思わせる出来事への対応やネットでの討論番組は、ある一方の政治的意見を集約させた形がこの映画だと思わせないこともない…


ところで、「内調」って、ドラマ「相棒」でたまに耳にする政治の側の部門。どんなところか、正直分からない。そんな私のような人間がこの映画観ると、「内調」って、頭が良くて官僚にまでなった人たちが1日中パソコンに向かって世論操作してる部署だと思ってしまいそう(汗)。


淡々と業務としてこなす官僚たちの中で、松坂桃李は善良さがかえって仇になり、苦しむ役。


生まれてきた子供に恥じない人間にとの思いから、彼は内部告発に踏み切ろうとするが…ラストの憔悴しきった彼の姿を見ると、その意思が貫かれることは無いと感じさせる…


まぁ、ラストに関する感じ方はそれぞれだけど。


参議院選挙を控えたこの時期に、今一つ何が言いたくて、何がやりたいのか分からず、さらに私たちの生活にどのように役に立つのか分からない野党より、よっぽど問題提起してる気はする(汗)。


でも、松坂桃李もいろんな役をやるなぁと。かつては何をやっても好青年って役ばかりだった気はする。それがあって、敢えて挑戦してるのだろうが、岡田准一を見習えと言いたい。時代劇か刑事!それを突破しようと試みてるらしいが、試みが成功してるとは思えない。だから、一周回るとまた時代劇!好人物を嘘臭くなく演じるのもまた技量の1つだと思うのだが…


その点、「居眠り磐音」は彼らしいと思ったけどなぁ。劇場で「新聞記者」を観てから帰宅した晩、WOWOWで「娼年」を放送してた。あれこそ、なぜ彼なのかって思ったけど、この「新聞記者」も同じかなぁ。


映画自体は内容と言い、公開時期と言い、挑戦的な姿勢が見えて、これは評価されるだろうなぁと思った。ただ、導入部の、現実にヒントを得たというより、そのまんま焼き直し的な事件の扱いはちょっと雑な気がした。エンドロールは無音で始まり、「おぉ〜!」クリント・イーストウッドかと思ったけど、結局、曲が始まって、「なぁ〜んだ!」と。