今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

居眠り磐音


NHK山本耕史主演で連続ドラマ化された本作。映画は松坂桃李主演。原作はやたらとヒットしてる時代作家の人(名前、ど忘れ)のシリーズ物らしい。


磐音さんが居眠り剣法と言われる方法で剣技を磨き、3年の江戸詰めが終わり国元へ帰るところから話はスタート。幼なじみの3人組で勤めを果たし、帰国後はそれぞれ藩のためにお役を授かっている。


そんな前途有望な若者がなんとも不幸な悪企みに巻き込まれ、2人が命を落とし、磐音だけが生き残る。藩主の命とは言え、幼なじみで婚約者の兄でもある男を斬った磐音はその自責にかられ、密かに藩を脱する。


大切な妹の1人をあらぬ誤解で斬り捨てられたその兄は、原因を作った藩の要職にある家の息子を斬ったのを手始めに暴れまくる。最後は磐音に斬られ、命を落としたとはいえ、お家断絶となってしまう。


磐音が脱藩し、行方が分からなくなってしまい、心の支えを失った婚約者の直は、病弱の父と母を助けるため、国を出る。


こうして、別な道に進んだ2人は相まみえることなく共に江戸に暮らす。磐音は、気のいい大家とその娘に支えられ、ひっそりとそれでいてしっかりと自分の足場を築いていく。


これが、例の国元での事件から半年後なのだが、それに連なった流れで、初めは長崎から京都やその他の花街を流れ流れて吉原に辿り着いた直は、なんと大勢の見物客の前で花魁道中を。


遠くからその姿を認め、追いかける磐音。この辺りでグッとくるのかなぁ…狙いとしては。


でも、私はここで思いっきり引いちゃった。磐音が江戸で鍛錬した佐々木道場に、いつか彼が来たら、渡してほしいという手紙が吉原から届けられる。


事件から半年後、江戸で職を得て、少しずつ立ち直ってきた磐音がやっと道場に顔を出した時だから、1年くらいは経ってるのかもしれない。でも、あちこち流れ流れて、吉原にやってきた女がそれくらいの短期間で花魁になれるのか?


京都の島原の芸鼓は天神になるのだってそれなりに大変で、まず芸の素養をしっかり身に着けて、それこそちゃんとしたパトロン見つけて、そこら辺の町人や武士よりよっぽど高い位なのだと聞いたことがある。花魁もそうだよなぁ。確かに直は武家の娘だから、それなりの嗜みは身に付けているだろうけど、あまりにも出世が速い!しかも花魁道中って、ちゃんとしたパトロンがいないとダメじゃなかったっけ?


それに1番引いたのは直の手紙。それは、どこに居ようと自分は磐音の妻だと伝える手紙なんだよね。これって花街の女は言っちゃいけない言葉じゃないのかな。ましてや、磐音のような真面目な青年に。


私には直が未練タラタラで兄の不始末を棚に上げ、自分を捨てて藩を出た磐音を責めてるようにしか感じられなかった。心が狭い私。。。(汗)。


まぁ、テレビの時代劇みたいな王道のストーリーで、それなりのテンポで進む話なので、観てる方もこんなふうにあれこれ考えてしまう余裕があって(汗)、なんか、せっかくの豪華キャストがもったいない。


柄本明さんの悪い両替屋は、ちょっとやり過ぎな感じ。悪党は往生際も悪いってことなんだろうけど、人に地獄だと言う前にオマエが行け!とか思ってしまった(汗)。


でも、梅雀さんと木村文乃さんの親子は良かったな。梅雀さんはいるだけで安心できる俳優さん。お父様譲りのあの声がとても温かい。今まで木村文乃さんはあまり好きな女優さんではなかったけれど、今回の役は彼女にとても合っている。明るくて元気で、それでいて芯のしっかりしたお嬢さん。芳根京子さんの暗いオドオドとした感じと比べると気持ちが良かった。まぁ、芳根京子さんも直がそういう役だったということなのかもしれないが。。。


そして、エンドロール。MISIAの歌がそれまで流れていた曲や映画全体の曲調と全然マッチしていない。スクリーン内はお年寄りばっかりで、そこでMISIAの歌が流れてもあんまり。。。


松坂桃李くん目当ての若い女性客で埋まってるならまだしも(汗)、いくら平日の昼間とは言え、十分におばさんの私が多分1番年若い観客であったと思うので、主題歌流すなら、もう少ししっとりと歌い上げる演歌の方が。。。


まぁ、ちょっと気になりだすとツッコミどころ満載な感じはするけど、変に派手な演出もなく、じっくり描こうとした姿勢は感じとれた。ただ、全体的にテンポが悪いせいなのか、なんだか長く感じてしまった。


殺陣にもう少しキレがあれば、そこだけでも雰囲気は変わったのかな。みんな強く見えなかったしなぁ(汗)。やっぱり、松方弘樹さんとか里見浩太郎さんとか高橋英樹さんはスゴイんだな!


最後に時代劇のポイント、髪型もね。松坂桃李くん、月代剃った髷は似合わなかった。浪人になって、総髪にしたら、サマになった。芳根京子さんも日本髪が似合わなかった。主要キャストの2人が似合わなかったというのは…(笑)。木村文乃さんが日本髪が似合ってるのにはびっくり。彼女は時代劇の方が良いかも(笑)。顔の作りも長屋の世話焼き姉さんって感じで、意外な発見。時代劇は日本髪にしたり、髷にしたりと見てくれも重要で、誰でも出来るワケじゃないと思ってるので、意外なところで才能を見出した感じ(笑)。


ちゃんと作ってるのに、詰め込んじゃった感が満載で、そこは長期シリーズ物の映像化に付いてまわる話で、やっぱりドラマでじっくり見たい作品だと思った。前半部分の磐音脱藩までの顛末で十分1本の映画になると思ったし…