今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

もう少し、新選組関連本を読んでみた!

 

 

まだまだ熱は冷めないようで、何冊か読んでみた。ただし、図書館を活用してる関係で上下巻本など続き物にはなかなか手が出せない。。。

 

 

 

 

 

新選組』松井 玲 著(岩波新書 新赤版)

 

 

岩波新書で出版されてるだけで、なんだかグーンと信用度が上がる(汗)。この信頼感は凄いよね。こちらは小説ではなく、様々な資料を元に当時を検証するいわゆるノンフィクション。

 

様々な出典から時系列で「新選組」の流れを綴る。読んでて、説得力はあった。どうも、大河ドラマなどの影響で「新選組」について、研究、検証が進み、さらに様々な証言資料が発掘されたらしい。

 

発掘と言ったって、古墳みたいに掘り起こすワケじゃなく(笑)、蔵の中にしまわれてた当時の日記や家族縁者に代々伝わる文書の類いが日の目を見たというところらしい。

 

今と違い、スマホのような情報ツールを各自が持ち合わせることもないのだから、戦場を転戦するなかで残されたものが一番信憑性が高そうに見えるけど、それはかなり不確実な情報と勝者の理屈による創作も多い。だとすると、現場に居た人々の記憶による「日記」がベストかもしれないが、これも当時は新政府軍が官軍(様々嘘八百で塗り固めたものらしいが…)で、賊軍側の人間は拷問にあったり、謹慎させられたり、すぐに自由が効かなかった関係で、記憶が不鮮明になる頃にやっと筆を執ることができたわけで…

 

ましてや、新選組関係者の血縁など世間から疎まれ、時代に迎合した輩に命を狙われることもあったろうから、身を隠し、命を長らえる方が先だったに違いない。そんな中でも書き残した人々がいる。

 

あの戦争はなんだったのか、なぜ、彼らは命を賭けたのか、なぜ死なねばならなかったのか…

 

いつも思うけど、幕末から明治にかけ、幕府の側で戦ったはずの人間が、なんで新政府の要職にあるのだろう。榎本武揚とか…新政府側がその才を惜しんで登用したのだろうか。登用の意向は辞退できるのにね…

 

今の時代の視点から、自分と共に歩んだ人を守るために敢えて敵の中で立場を築いたという解釈も成立するけど、そんなのを認める時代だったのかねぇ。敵に呑み込まれ、その一翼担うことを良しとしたということだよね。結局、そんな輩が現代日本の礎を創ったのだ。

 

 

 

 

 

『決戦!新選組葉室麟・門井慶喜・小松エメル・土橋章宏天野純希・木下昌輝 著(講談社)

 

 

こちらは小説。新選組の人物を主人公に描く。最近よく見かける1つのテーマに沿った短編小説を集めたオムニバス形式。

 

それぞれの作者の視点で描かれるので、読んでいくと同じ1人の人物がまるで違う人間のように登場することもある。これは読む方としては混乱するので、あまり良くない。せめて、同じ視点に立った作者の物を集めてほしいなぁ。

 

葉室麟さんの小説も含まれていたので、期待も大きかったけど、残念ながら、読み終わって頭に残る話が無い。見直して、あぁそんな話だったと。

 

いろんな隊士が主人公になるわけだが、やっぱり土方歳三を主人公に据えた物は面白い。農家の四男坊、当時は家督も継げず、期待もされず、為すことのない死んだように生きる立場。その男が一気に歴史の表舞台に立ち、駆け抜ける。記録も乏しい時代、作家の技量でどうとでも書ける。その面白さ。彼より長く生き、彼より重責にあった者たちの光を奪うほどだ。

 

 

 

 

 

新選組 試衛館の青春(下)』松本匡代 著(サンライズ出版)

 

 

同人誌的な小説と評されるらしい本作。下巻はさらにその傾向が強いように思う。

 

時代の流れの中で、試衛館に集う面々は将軍警護のために京へ向かう浪士組に一統で参加することを決める。人を斬って京に向かったかつての同門山口一を探す目的も兼ねた上洛。

 

最後の最後で、つましいながらも愛情に溢れた家庭で育った山口が、すれ違う人を怖がらせるほどの佇まいになって現れる。

 

やっと、ここから。そこで終わる。この小説はこれで良いと思う。この後の歴史の事実を重ねれば、前段の登場人物たちに多くの矛盾が生じていくから。

 

 

 

 

 

新選組秘帖』中村彰彦 著(新人物往来社)

 

新選組のメンバーと言えば、近藤勇をはじめ…と何人か名前を言えるほどになった今日この頃。しかし、本作は確かにそれらの人物が関連する人としての立場で登場するが、主人公ではない。

 

名も無き平隊士や歴史の流れを書き残した当時の人々の日記などにわずかに名前を残した人を主人公に語る短編小説集。

 

「決戦!新選組」の感想でも書いたけど、主人公に据えて面白い人というのがいるものだ。土方歳三はまさにそんな人。

 

かのスター隊士の裏では、こんな人たちのエピソードもあった的な小説なので、そこに楽しみを見つけられれば良いと思う。でも、全く土方歳三に掠りもしないと、面白くなかった。私はね…

 

土方歳三は出てこないけど、彼にまつわる人を語るエピソードは面白い。まぁ、ミーハーなのだな(汗)。

 

最後に著者の中村彰彦さんと東大教授(当時)の歴史学者山内昌之さんとの対談がある。「新選組と日本精神」というテーマ。これは面白い。小説にこんな対談が載るなんて、よほど中村氏は新選組好きな方なんだなぁと。

 

 

 

 

 

以上、簡単に感想を書いたけど、いずれもサラリと読める分量なのでオススメ!