今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

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スクリーンに流れるのはPC画面ばかりだけど、最後まで引き込まれるというレビューをいくつも見て、PC関連は得意ではないけれど、どんな物か気になって、映画館へ。


レディース・デーだというのに場内はガラッガラ。「サーチ」だけでなく、ロビーもガラッガラ。この時期、女性が好む映画はやってないの?


ても、そのおかげでのんびり、ゆったり観ることができた映画の内容はけしてのんびりしたものでなく、確かに評判通りの面白さ。


親子の会話もPC画面を通して行われ、父親が思い通りにならない娘に業を煮やして電話をするが、それすらもPC画面から受話器マークをポチッと。時代とはいえ、こうもIT化されたコミュニケーションの方法を見せられて、私は完全に時代の流れから取り残されてると実感する。


それでも、どんなに機械化が進もうとやはり親子の愛情には敵わない。そういう結末にホッとした。


PC画面に反映されたある親子の来し方が次々とスクリーンに映し出される。そして、病気と闘った母親が亡くなる。父と娘、2人の暮らしになり、さらにPCへの依存度が高くなる。


思春期を迎え、母親を亡くした悲しさを引きずりながらも、父親と上手く距離感が掴めない娘。娘の悲しさを上手く理解できず、途方に暮れる父親。


2人を繋いだ母であり、妻の喪失は父と娘の距離を遠ざける。


そんな時、友人のところで徹夜で勉強会をすると連絡してきた娘が翌日になっても帰宅しないという「事件」が起こる。ただ友人と出かけてるだろうと考えるまわりの反応に父親はイラつき、娘の友人、知人を探し出し、娘の行き先を探し回るが、そこで見えてきたのは、娘自身が話していたのとは全く別な娘の本当の姿。


この辺の話の運びは、よくあるパターンかもしれない。けれど、その探索の過程が全てPC画面をバックにして進むというのは新しい、というか今時なのかもしれない。


そして、娘の行方不明が警察に届けられ、捜査が開始される。女性の捜査官が担当となる。


次々と映し出される慣れないPC画面がいっぱいの映画にあたふたするが、ちゃんと伏線がいっぱい転がってる。


夜中に1人で給油する姿が防犯カメラに映っていた娘。ガソリンスタンドを出る彼女の車のすぐ後をまるで後を付けるかのように出発する白い車。


捜査担当の警官が見つけてきた映像だが、私でさえ、「あの車、怪しい」と思うのに、それには一切触れない捜査官。コイツ(白い車の運転手)が犯人か!捜査官は犯人を知ってるな!捜査官の近くにいる人間だ!っていう伏線。。。


途中、娘の失踪を単に犯罪に絡んで逃亡したと世間に思われている父親の苛立ちにPCでのテレビ電話で誠実に応対する捜査官のとてもやつれた姿は妙な印象。


そして、なにより、自分の息子が寄付と称して近隣から小金をくすねた時のエピソードがこの捜査官は息子のためなら、嘘も真実に塗り替える人間なのだと強烈に印象づける。この辺からいよいよ怪しくなる捜査官。でも、なかなか、シッポは掴めない!


物語は進み、父親の機転で娘の車が発見される。ここからもいろいろあれっ?というシーンは挟まれるのだが、なにしろ、スクリーンに現れるPC画面の展開の速さでついて行かれない。


ラストは鮮やかと言う他はない。前半からの伏線を見落としてると思いっきり唐突なラストに思えるだろう。少しは気づいた私でさえ、ラストが少し強引かと思ったから。でも、捜査官の人物を検索した初期の段階で多くの伏線があったわけだから、何も唐突でも強引でもないのだ。


最初から背筋を伸ばし、全神経をスクリーンに集中して観てみると、なんと分かりやすい映画なのかと思うはず。あっぱれ!!ぼんやりと観ていたのが悔やまれる。