今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール


イタリア映画の試写は九段のイタリア文化会館で。とても綺麗で素敵なホールで、感動的な歌声に酔いしれる映画。


アンドレア・ボチェッリ…名前は知っていたけれど、実際にどんな人でどんな背景を持つのか全く知らなかった。


チラシを見ると監督は「イル・ポスティーノ」のマイケル・ラドフォードさん。そりゃあ、良い映画になるよ!


家族待望の男の子アモス。その泣き声の不自然さに不安を感じる母親は、夫を急かして病院へ。まだ生後半年ほどのアモスだけれど、先天性の緑内障だと診断される。


失明の不安を抱えながら成長するアモス。しかし、家族の支えの中で、彼は自立して生きていくという姿勢を貫いていく。


普通に学び、普通に遊ぶ。そして、恋をする。


子供の頃はその美しいボーイソプラノで歌に自信を持って成長していったが、美しい声を失った声変わりを契機に歌手を諦める。法律家の勉強をするため、極力家族に頼らないよう、バーで弾き語りの仕事をして生計を立てる。


バーで彼の歌を聞いた人の紹介で何人ものオペラ歌手を育てたマエストロの元で学び始めたアモス。マエストロの厳しく愛情深い指導の元で歌手としての成長を遂げるアモス


有名なロック・スターのステージで共演の話もあったが、スターの気まぐれに振り回され、結局バーも辞めてしまい、レッスンを続ける経済的な余裕もなくなっていく。


追い詰められたアモス。しかし、多くのハンディを抱えながら、誰よりも努力したアモスに幸運はやってくる。


アンドレア・ボチェッリは世界最高峰のテノール歌手。オペラだけでなく、ロック・スターと共演したり、新しいチャレンジをしているそうだ。その彼が自らの来し方を執筆した実話小説が本作の原作だ。


美しい自然の中で愛する人々、信頼する指導者に囲まれ、夢をつかみ取ったボチェッリ。アモスに自分の姿を投影して書いた小説がこうして映像になり、彼自身の歌声が流れる。その声に大きな感動を貰った。


音響の良い劇場で観たい作品だ。