今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

フォード vs フェラーリ


世間の大評判に、とにかく観たかった。クリスチャン・ベイルマット・デイモンの夢の共演だしね。ところが、なかなか劇場に行けず、しかも「アナ雪」や「キャッツ(世界的には大失敗らしいが、日本では今のところ好成績)」のせいなのか、スクリーンが小さくなり、上映回数も減っている。上映回数が多いのは日比谷など観客も集中する劇場だ。


終わっちゃうよ〜と慌て始めて、都心でなく田舎へ行くことに!本八幡のTOHO市川コルトンへ…この劇場は、設備的にはTOHOシネマズの中でも古いタイプらしく、スクリーンの大きさも音響も何も特別な物が全く無い。それが残念ではあるけれど、でも、そのおかげなのか、都心でアウトな時もチケットが取りやすい。


ということで、おかげでしっかり鑑賞できた!


2人の主人公のレースに賭ける青春物語っぽい味わい。良い大人が通りで殴り合いのケンカするなんて、青春してるとしか言いようがない。


持てる者と持たざる者。主人公たちは持たざる者だ。レースの世界で少しは名を売ったとしても、結局、レースに参戦するための車や機材、スタッフに金がかかる。


その金を出してくれるスポンサーは自動車メーカーだ。自動車メーカーだって、慈善事業じゃない。自分たちの宣伝になる自分たちのため動くチーム、ドライバーを求める。ところが、ベイル&デイモンのチームは金は無いのに言うことも聞かない(汗)。


扱いにくい主人公たちは結果が全ての厳しい世界で、さらに過酷に結果を追求される。


タイトルを見るに、フォード側として参戦した主人公たちと王者フェラーリとの戦いのように感じるけど、実際は違う、全く違う。本当の敵は身内のフォードなのだ。フェラーリ車との真っ当な戦いが描かれる一方でフォード内部からの理不尽な圧力とも戦わねばならない。


これが異端児の宿命ではあるが、当時のフォードの社長もレースで幅を利かせる欧州車に対し、唯一勝ったアメリカ車であるフォード車の歴史が映画化されることになり、まさか身内であるはずの自分たちの悪辣さが後世の人たちに暴露されてしまうとは思いもしなかったろう。


フォードの副社長の非道極まりない策略のためにル・マンでの優勝を目の前で失ったベイル…コース上で呆然と立ち尽くす彼に頭上のVIP席から会釈を寄越したのはフェラーリの社長だった。これこそが本当の勝者を称える会釈ではなかったか…


結局、自らの会社で働く人々に敬意をはらえない経営者はダメだということだ。自分はそれらの人々に支えられて立つことが出来ているのだと感じられないから。フォードがダメな理由が透けて見える映画だった。


それでも、金を持つ人間が強い…金を持つヤツが世の中を動かしていく…そんな世の中の不条理に悔しさも感じる。


クリスチャン・ベイルマット・デイモン、2人の共演に乾杯!