試写にて。とにかく凄い!なんだか、凄い!
若い夫婦が伝統農法にそった農園経営をするお話。実際の記録映像をその最初の段階から追ったドキュメンタリー。
どちらかと言えば奥さんの方が食の安全に気を遣っていた。奥さんの思う安全は根本からの安全であって、町のスーパーマーケットで買ってくる安全ではなかった。
いつしかご主人も奥さんの熱意に感化され、2人で農園経営を思い立つ。しかし、現代農法の経営だって難しいのに、今ではそのやり方さえ教示してくれる人が少ない伝統農法に立ち返っての経営となれば、金はいくらあっても足りない。若い2人にはその金も無い。
2人はまず伝統農法を学ぶことから始め、その世界では第一人者であるアランに助言を頼んだ。そのアランの存在が広く訴えるきっかけになり、投資家や現場で共に作業してくれ仲間が集まってきた。
その過程で力を発揮したのがインターネット。その発信力は凄いなと改めて感じた。
何も無いところから始めた2人。伝統農法について、調べ、学ぶ。荒れた土地を1から造り直す。シャベルも立たない固い土を前にして挫けそうになりながらも、伝統農法で土地を造ることに強い信念を持つアランの主導で一歩一歩前に進んでいく。
動物と植物…命ある全ての物を雑多に招き入れ、本当の「自然」を目指していく。全ての命ある物が互いに影響し合いながら、農園を作り出していく。人の手だけではとうてい成し得なかった連鎖が少しずつ形になっていく。
彼らの農園のほんの10年ほどの日々が映画になったのだが、私達の命を支えてくれる農作物を自然の力を大いに借りて作り続けた農園の奇跡に衝撃を受ける。
様々な困難にぶつかり、そのたび毎に立ち止まって、方法を模索しながら1つ1つ対策を立てる。しかし、人間の手では如何ともし難い難題に直面することも度々だ。そんな時、彼らはそこにある自然の力をただ信じていくことしかできない。
待ちの農法だ。手を尽くし、やりきったからといって、全てが上手くいくわけではない。自然の連鎖が土に力を与える。全ては生きた土が生み出すのだと。彼らの示した道が壮大で圧倒的でただ感服。偉大な土に感謝だ。
アスファルトに覆われた町で暮らす自分には到底無理な話だけど……