今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

カササギ殺人事件


図書館で予約して半年……いや、もっと待った上巻。借り出し期間の2週間を目一杯使ってやっと読み終わり、下巻はどうかと思ったら、すぐに確保できた。みんな上巻を読んで、お終いってことだな……と(汗)。


カササギ殺人事件(上・下)」アンソニーホロヴィッツ 著/山田蘭 訳(創元推理文庫)


以下、感想。。。















いやぁ〜、大変だった。アガサ・クリスティ系のミステリーだと聞いて、予約も多かったので、よく知らずに手に取ったが、なんとも言えない……


まず、面白いミステリーなら、多少複雑な話でも、そう日はかからずに読み切るものだが、本作は一向に進まない。読んでも、読んでも進まない。


つまり、面白くない。。。


劇中劇みたいな筋立てで複雑にしてみせてるけど、その本質は嫉妬と憤怒にかられた男が犯した殺人事件という…


その殺人事件の起きた時期にたまたまいくつもの偶然が重なり、見かけは複雑な殺人事件に成り立ってしまったという。そこに素人探偵がしゃしゃり出てきて、より複雑怪奇にしてまったというお話で…


作中に登場する有名ミステリー作家の小説原稿。編集者として、読むように言われた主人公はそこに結末が欠落していることに気づく。


今では扱いにくいその作家の担当となっている社主にその旨を伝えると、社主も預かったものをそのままコピーしただけで、謎解き部分が無いことを不審に思っていた。


そもそも、そのオリジナルをコピーした女性秘書に聞けば、最初から怪しいポイントはかなりの部分で明快になったのに。なんで秘書に聞かないんだろうと不思議で仕方なかった。また、主人公は作中でやたらと社主との関係を再確認している。共に歩んできた社主。仕事面だけの付き合いとは言え、最初から苦楽を共にして会社を大きくしてきたことがやたらと強調される。


ここまでくれば、この事件には社主が大きく関係しているのは十分に理解できる。それを遠回しで、長々と上下巻も綴っていくとはあまりに無駄な印象だ。


まず、作中にほとんど一冊のミステリーのように有名作家の絶筆となった小説を綴る。それで、上巻はほぼ終わってしまう。そして、作家の死に関連して様々な関係者に当たるうちに、この作中小説の登場人物や設定は全て作家自身の生活からヒントを得たものだと知れる。


でも、それがどうした?って思うんだけど…


結局、それら、主人公の編集者が取材して突き当たった様々な事実は、あまり事件の本質に関係が無い。


これらの展開が「やられた!」と思うほどキレの良いものなら、十分楽しめたのだろうが、全くキレが悪く、前に出てきたアレはどうなったのか、ソレをどう解釈するのか…など伏線なのかそうでないのか微妙なまま、結末に辿り着いてしまう。


素人探偵の不味い解決方法をそのまま小説に展開した感じ。


ん〜。。。残念ながら、あまりオススメはできない作品に思える。というか、ツッコミどころ満載。映画はツッコミどころが多くても、その性質上一過性のスピード感でごまかせてしまうけど、まぁ、それも作り手側のテクニックの1つかとも思うけど、小説はそうはいかない。おかしいなと思えばページを括って、チェック出来る。その点がなんとも…


映像化したら、その点は見せないことや伏線として点在させることで成立するかもしれないけど、小説では無理な気がする。


本書の感想は1ヶ月近くかけて上下巻をやっと読み終えたということで十分伝わるかなぁ。