今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

北条氏と鎌倉幕府


「頼朝の武士団」の著者、細川重男さんのより北条氏に焦点を当てた著作。


「北条氏と鎌倉幕府」細川重男 著(講談社選書メチエ)


以下、感想。。。

















「頼朝の武士団」では、頼朝を中心とした鎌倉武士たちの様子が語られたが、本作ではより頼朝に近い北条氏に焦点を当てている。


北条氏で括るとむしろ頼朝は、ほとんど関係なくなってくる。頼朝って、ホントに鎌倉幕府創設の頃に影響を与えただけなんだなぁと。鎌倉幕府の実体は北条義時承久の乱に勝利を収めてからなんだなぁと。


後年、ずっとずっと後年、朝廷の権威を復権した公卿たちは、三上皇配流という前代未聞の裁可を下した北条義時を魔物のように捉え、その説を不動のものにしたけれど、細川重男さんによると北条氏が権勢を振るった頃は北条義時は神の再誕と崇められたらしい。だから徳宗…義時の直系こそ北条氏の中心。そういう時代があったと。


そして、元寇の頃、執権にあった時宗は、北条氏を究極、最極の位置に押し上げたまでは良かったが、その後は転げ落ちる。


結局、地方都市の田舎侍だった北条氏が時の人、源頼朝と縁を持ったことから中央政界に躍り出て、たまたま器量のある人間がトップに居たがために、政権を牛耳ることになった。そして、何代かその地位を守り続け、でも、その過程は、自らを守るための戦いの日々で、いつしか一番身近な側近たちにも刃を向けることになり、内戦状態を勝ち抜いているうちは良かったが、次々と人材を葬ることになり、結局は自らを守りきれなくなったという…


ある一族のスケールの大きな成り上がりの歴史ということなのかな。


大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が放送されるまであと1年。時代考証担当の先生方の著作も今後クローズアップされていくだろう。もともと資料の少ない時代だという鎌倉時代。ここで、いろいろと勉強しよう。


小学生の時、近所の古本屋に父親に連れられてよく出かけ、その度に本を買ってもらったのだが、初めての歴史小説鎌倉時代元寇壱岐での戦いに身を投じた若き侍の話だった。実在の人物。子供用の歴史小説ではなく、大人用の短編小説だった。その中で、分量的にも小学生が読み切れるちょうど良い量の話だった。でも、そこに登場する北条時宗はそれほど名君には思えなかったけど…(汗)


壱岐で戦う武士たちの危機感や使命感からすると遠く鎌倉で指示だけしてる時宗は、なんだかよく分からない人で、結局、神風じゃないけど運に助けられた感満載のお話だったなぁ…あれは、なんというタイトルの本だったろう。全集タイプの小説集の1冊だったように覚えているが…