今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

新選組 二千二百四十五日


再び新選組!事実を元に構成した小説ではなく、様々な研究や著者の調べた新選組の実態を時系列に沿ってまとめた研究書。読み応えもあり、今までの研究資料的な書籍で見かけなかった細かな事実も書かれている。


新選組 二千二百四十五日』伊東成郎(新潮文庫)


以下、感想。。。


















新選組結成から蝦夷地での土方歳三最期の日までを数えて2245日として、順を追って、新選組の姿を伝える。


歴史の大きな流れの中では最大隊士を数えた時でさえ200人に満たない武闘組織など小さな存在だったのかもしれない。だから、記録が少ない。


また、当時の主流は薩長土だから、その立場から見れば、最後まで幕府の側にあった人間たちが良く言われる訳がない。結局、勝った者勝ちな結果、ついこの前の事も相変わらず不明確なのだ。


時の為政者たちは自分達を飾ることばかりに忙しく、敵方は格好の標的になっただろう。彼らのなかで、果たして、本当に幕末の混乱と戊辰の役を冷静に総括したのだろうか。


新選組に長く身を置いた隊士で、戊辰の役を生き延びた人たちは、ほとんどが市井の一人として生きた。それが全てを物語っているようにも思う。


彼らの行動は新選組としての正義を貫いた結果だが、それを認めようとしない世の中で生きていくことがいかに難しいか…


自分たちの側が勝利を得るなど、きっと考えもしなかったに違いない。ただ、これまで生きてきた義を貫くためだけに立ち上がったかのような…


明治になって、新政府の時代になって、新しい仕組みの世の中になって、人々はつい先頃までの世の中と新しい時代の違いをどんなふうに感じていたんだろう。


大きな世の流れを目の当たりにした人たちにちょっとジェラシーなど感じてしまうけど(汗)、新しいばかりに目が行く中でも、現代まで当時の様子が語り継がれているのは、やっぱり凄いなぁと思う。


まだ、まだ知りたいことはいっぱいある。著者の伊東さんにもっと調べ尽くしてもらいたいなぁ!本作はとても、面白かったし、様々な研究結果や調査結果が書かれているけど、ガチガチの学術書じゃないので、読みやすいし、読み終わるのが残念だった。。。


戊辰の役の主戦場が会津に移ってからの新選組は、斎藤一に率いられていく。宇都宮での大ケガをきっかけに療養に入る土方歳三は、再び戦場に戻る時、その足場を新選組に置かない。幕府軍の参謀としての動きがほとんどだ。それでも、新選組の最後は函館での土方歳三の死になるのだ。近藤勇亡き後、彼こそが「新選組」の魂ということなのかな。