今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

最愛


「最愛」…やたら長いタイトルが多い最近のドラマや映画。そんな流行りを全く無視するタイトル。普通、最愛という言葉は「最愛の…」とか「最愛な…」とか次に続く名詞がセットになる言葉だと思うが、そこがない。


どんなドラマなのか、全く予想できない。ただ予想できたのはプロデューサーの新井順子、メインデレクターの塚原あゆ子というコンビが作るドラマにハズレ無しということ。


そこにハチさんが出るということ。「スカーレット」終了後、民放ドラマや「ゴチ」、「ZIP」の司会の月当番などバラエティにも進出してたけど、一切見てなかった。それほど私にとってハチさんは特別だった。


ハチさんこと松下洸平くんが新井、塚原コンビのドラマに出る。しかも、ヒロインは吉高由里子。これは見ないと…って思った。ちなみに同コンビによる1作前のドラ
マ「MUI404」の第2話に犯人役でゲスト出演した時はちゃんと見た。そして、確かな演技力を確認した(何様?)


昨年の秋ドラマは、注目俳優が多く登場し、期待できる作品目白押しだった。だから、初回はほぼチェックしたんだけど、ほとんど初回でリタイア。辛うじて録画して全話見たのは杉咲花主演の「恋です!」のみ。


失敗しない大門未知子も途中からはリアタイのみ。リアタイの都合がつかなきゃ見ない。フジテレビが新設した「月10」の「アバランチ」も3回くらいまでは録画して見てたけど、最終的にはリアタイ。見られなきゃお終い。


なんで月9があるのに月10を新設するんだろう。2時間ドラマじゃあるまいし、2時間ぶっ通しでドラマ見るかしら?少なくても、私は見ない。でも、月9の「ラジエーションハウス」はSeason1も全くというか1秒も見てないし、だからSeason2は更に見るつもりもなかったので、とりあえず「アバランチ」は見られた。


見ないドラマって、見たいなぁと思う俳優さんが出てないのが1番の理由かな。


実は「最愛」で松下洸平くんが物凄く注目されて、TVerで松下くんと波瑠ちゃんが共演した「リモラブ」を見た。なんだ面白いじゃん!と思って、結局全話見た。何が本放送を遠ざけたかと言えば、主演の波瑠ちゃんがちょっと苦手(汗)。昨年初めの「知ってるワイフ」も松下くんは出てたけど、ジャニーズの子が苦手な上に広瀬アリスは何をやっても私には下品に見えてしまうのでダメなの。結局、共演者へのアレルギーがねぇ。


その点、吉高由里子はまぁ面白いドラマしか出ない人だから、これは良いかと。でも、松下くん、吉高さん初共演の1年前の「タラレバ娘スペシャル」は見てない。本放送をみてないから。それはなぜか、それは栄倉奈々が苦手だから…


ホントに得意な俳優さんが少ないの、私。残念な人(笑)。人気のある俳優さんでも、その人のクセというか色がダメだと作品の善し悪し以前に拒否反応が…(汗)


というわけで、完璧に全話録画した上にリアタイした唯一のドラマ「最愛」。これは秋ドラマで唯一なんじゃなくて、ここ数年のドラマで唯一。それほど、素晴らしいドラマだった。


なにより、松下くん演じる刑事の宮崎大輝がまぁ良かったの。刑事としての立場と、かつて気持ちの通じた女性との板挟みになって、それでも刑事としての正義を貫きながら、相手に寄り添うという難しい役。やっぱり、松下くんは芝居が上手いなぁ〜とつくづく感じた。表情で語る。目で語る。間で語る。セリフで説明するんじゃなくて、彼は役を体現する。これには身震いする。


これがキャリアのあるベテランならともかく、まだ彼は若い。と言っても30代だけど…テレビなど映像でのキャリアがそれほど無い彼。これまでの月日、板の上でどんな形で修練を積んだのだろうかと思いを馳せるほど、彼の芝居は魅せる。


舞台の世界では、キャリア的に彼は既にベテランの域らしい。ところが、年齢でみるとまだまだ若い…映像で活躍する若手と言えば、20代半ばから後半。それらの人々よりは年は上だけど。舞台の世界では松下くんは不思議な立ち位置にいる俳優らしい。


そんな人がポンと映像の世界にやってくる。吉田鋼太郎さんが舞台のまんまの演技で映像の世界で活躍されてるけど、やっぱり大袈裟だなぁと感じることは度々だ。その点、松下くんはそれなりに板の上のキャリアがあるのに普通にそこにいる人を演じる。ホントに不思議な人。


なんだろう。不思議な魅力が大いに活かされ、独特の世界観を持つ吉高さんと化学反応を起こしたみたい。


さて、ドラマの内容は…連続殺人事件、厳密に言うと連続でもないし、事件でもない案件もある。ただ、確かに亡くなった人がいる。その真実を明らかにする過程で、捜査員と参考人として15年ぶりの再会を果たす大輝と吉高さん演じる梨央。


岐阜の白川で心通じ合っていた15年前。とある失踪事件に絡んで、大輝に何も言わずに東京に去った梨央。その後、15年後に出会うまで互いに連絡も取らず、別の道を進んでいた2人。梨央はかねてより弟の病を治すために薬学部に進み、研究を重ね、母親の財力を得て創薬事業に取り組む会社の社長となっていた。大輝は人の役に立ちたいと東京に出て警視庁に所属、30代半ばで既に花形部署の本庁捜査一課で主任になっていた。


ともに脇目も振らず、やるべきことに努力を重ねた結果を手にした15年後。この出会いで2人の止まった時計は動き出す。だいたい、いくら好きだった相手とはいえ15年ぶりに顔を見てすぐに気づくか?そこに2人の思いの深さがある。少しずつ、封印したかつての思いに2人の心は揺り動かされていく。


そして、互いの距離が近づく中で2人は気づく。本当に好きな相手でありながら、一緒にいることは2人の間に「事件」が介在している間はどうしてもお互いの立場が対立軸になっしまうということ。その度に、共に気まずい思いを抱き続けなければならない。それを解消するためには「事件」を解決しなければならない。大輝は、持ち前の高い能力で1人真実にたどり着く。


彼が行き着いた「真実」は、梨央を苦しめるものだ。だが、大輝はどこまでも刑事として、犯人を追い詰める。まぁ、それが刑事の性というやつなんだろうなぁ。


事件に絡んで、大輝と梨央の関係を丁寧に描いた前半。ここで、一旦、15年前の最初の事件の解決が描かれる。ここから、ドラマは新たなる展開に。単なる梨央と大輝の絡みではなく、それぞれの世界での2人が描かれる。それぞれの仕事とプライベートでの関係が描かれる中で、事件も絡んでくる。


なにより、本が上手く機能している。そして、演者も機能している。全てが上手く絡んで、完成度の高いドラマになっていた。凄いなぁ。普通のドラマだよ。やたら金のかかったスペシャルドラマでもない、それで、これだけの完成度で見せるって、やっぱり凄いとしか言えない。


なにしろ、最終回から1ヶ月が過ぎてもまだ時折「Paravi」で見返してるんだから。


また、新井プロデューサーの仕事で松下くんを見たいなぁ。それとは別に松下くんと吉高さんのコンビで新たなドラマも見たい。共に左利きで食事シーンなど違和感なく見られたのも大きい。


我が家では、松下くんは梨央が呼ぶ「大ちゃん」呼びだ。相方など、松下洸平と言ってもすぐに分からず、「大ちゃん?」と聞いてくる。それほど「大ちゃん」は浸透してた。


次回作が楽しみだ。そして、早いうちに大河ドラマで主要な役どころを演じてほしい。主役は大変だから、その手前くらいの役どころで(汗)。


ただ、松下くんは多才な人だから、シンガーとしても仕事を続けるだろうし、ホームである板の上にも立ち続けるだろう。きっと、1年が1年じゃ足りなくなっていく…


そして、あっちもこっちもの中で、この役で見たかったなぁ〜という小栗旬くん現象が発生するかもしれない(笑)体は1つだから、演じられることも1つ、つまり、逃す役も多くなるってこと。でも、与えられた場で全力の松下くんを見られれば良いか…


映像のお仕事については、ちゃんと時間と金がかかってる「映画」で観たい気もするけど。


とりあえず、星野源みたいな人、他にもいるだなぁ〜と。松下くんはさらにイケメンだし(星野源がブサイクと言ってるわけじゃない…)、今後の活躍にさらに期待。