日本でも公開予定の韓国映画「トガニ〜幼き瞳の告発」
その原作…
「トガニ〜幼き瞳の告発」孔枝泳(コン・ジヨン)著/蓮池薫訳(新潮社)
以下、感想…
あくまでも、小説なので、登場人物に多少の脚色は加えられているとは思うが…
小説の内容はあまりにショッキング…
寄宿制の聾学校で起きた虐待事件。被害者は声を上げられない子供たち。
本来なら親代わりとして、慈しみ支える立場にある大人達が、自分の欲望を充たすために子供たちを踏みつけにする。
勇気を持って、立ち上がった教師や生徒を陥れんがための様々な策略。
田舎の閉鎖的な町では、財力に物を言わせて、世論をも動かす輩が「正義」となる…
子供たちを取り巻く理不尽な境遇を丹念に取材して、物語とする。
韓国にも山崎豊子さんのような小説家がいるんだわねぇ。
しかも、翻訳は蓮池薫さんだ。
彼も突然の理不尽極まりない自身の置かれた立場をどうやって乗り越えたのか…
立場は違えど、思うところはたくさん、たくさんあっただろう。
実際に起こった事件で、世の関心も高かったはずなのに、孔氏が小説として発表するころにはすっかり関心の熱も冷めてしまっていたらしい。
小説だけならそのままだったかもしれなかった状況を打開したのは、小説を読み、問題意識を持って映画化を強く望んだ俳優がいたから…
コン・ユ氏を主演に作られた映画は韓国国内で大ヒットし、映画に後押しされる形で世論が盛り上がり、、警察、国をも動かした。
国をも動かす「波」。もとは、被害者であるたった1人の聾唖の少女の勇気ある訴えから始まった。
健常者とは違い、コミュニケーションにも大変な労力を必要とする彼女が、自分や同じ思いに苦しむ仲間のために、立ち上がり、「声」をあげることがどれだけ勇気を必要とし、どれだけ強い心を持たねばいけなかったか…
そこに思いを馳せるだけで、涙が止まらなくなった。
映画の公開が楽しみだ!!