今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ドラマ「ブロードチャーチ〜殺意の町」


WOWOWにて一挙放送したイギリス発の大ヒットドラマ。


「ブロードチャーチ〜殺意の町(全8話)」


イギリス本国では34.1%の視聴率を記録したとか…


以前、新聞の記事でイギリスのテレビの楽しみ方として特徴的なのはオンタイムでなく、オンデマンド配信によって、視聴者側の好きなときに好きな番組を見るというシステムが確立しているということらしい。


このドラマ、視聴率を元に換算すると国民の3人に1人が見たということになるらしい。


なんというビッグな数字‼


本格サスペンスと謳われているけど、3人に1人が見るのだとしたら、当然家族で見られる内容だと思うじゃない‼


ところがどっこい、事件の被害者も数々浮かび上がる容疑者も、さらには真犯人とその犯行動機も、どれをとっても気が滅入る…


日本やアメリカの1話完結のサスペンス(刑事)・ドラマに慣れてしまった私には、1つの事件をじっくりと8話かけて追いかけるのはちょっと大変だった。


でも、そんなこと見るまで知らなかったし…(汗)


で、なかなか苦手なタイプのお話しながら一挙8話を完遂出来たのは、その脚本の良さだと思う。ホント、良く出来てる。


まず、殺人事件は最初に起きる。


被害者となったのはタイトルにもなっているブロードチャーチの町に住む11歳の少年。


美しい海岸線と海岸の先に突如現れたような巨大な崖…ブロードチャーチの町は、その美しさゆえ、サマーシーズンには観光客が押し寄せるが、その時以外はほとんどが顔見知りの狭い町だ。


田舎ののどかな町。地元の新聞記者の青年が言う「生涯、町から80k以上出たことが無い人もいる」とか。


ちなみに都心から80kmというと、南は神奈川を越えず、北は北関東3県を越えないらしい。旅行に行かない私でさえももう少し遠出してる(汗)つまり、ブロードチャーチの人々はまさに閉鎖された田舎の町の人々ってことだ。


ここが実は重要なポイントで、後々物語の進行に大きな意味を持ってくる。


被害少年は、崖の下の浜辺に倒れていた。自殺かと思われたが、検死の結果、絞殺と判明する。


夜、自らスケボーに乗って1人家を出た少年はどこへ行き、なぜ死なねばならなかったのか。


殺人事件など起きたことも無いのどかな町の警察にこの事件の解決のためにやってきたかのように赴任してくる警部補。


彼はどこか病的な印象だ。第一線の捜査官だった彼は国中に知られた少女殺害事件で大きなミスを冒し、田舎町の警察に左遷されてきたわけだ。


そして、同じような事件に出くわす。


皮肉なもんだ。


そして、彼が来なければ、彼のポジションに昇進したであろう女性刑事とあぁ言えばこぉ言う系の相棒として、事件解決に当たっていく。


小さな町だからこそ、単なる噂が疑惑となって人々を追い詰めていく。


登場人物たちはみな誰も彼もがどこか怪しい。この辺りは本当に素晴らしい。「誰だ?誰だ?」というドキドキ感を維持できる珍しい脚本の出来‼


そして、事件解決の過程で、怪しい雰囲気を醸し出していた人々の過去が顕になっていく。


静かな町だからこそ、過去を清算して、やり直すためにたどり着いた人々もいたのだ。彼らにとってはつかの間の休息だったのだろう。


ところが、小さな町の人々の反応は敏感で感情的だ。狭い社会だからこそ、過激な対応を始める。ここが怖いΣ(||゚Д゚)ヒィィィィ


悲しいことに、何の罪も無い老人が、彼らの行動に追い詰められ、自ら死を選ぶ。なんてことだ。


町の善良な新聞社での報道は都会のセンセーショナルな報道に書き換えられ、町の人々を煽り、扇動していく。


その結果、町は段々と寒々しい風景になってくる。


事件解決のドラマと平行し、被害少年の家族の葛藤も描かれる。


狭い町で、息のつまる暮らしの中、ただ惰性に流されていた母親。退屈な毎日に刺激が欲しくて、町のホテルの経営者と不倫する父親。父親の不倫を知っていた高校生の娘。


息子の死をきっかけに、それまでかろうじて持ちこたえていたものが一気に音を立てて崩れていく。


この家族の再生も描かれる。だからこそ、8話なんだろう。


狭い町でこの感情的な住民の反応。登場人物たちの悲しい過去。そして、家族の再生。


1つの事件が、呼び水となって、様々なドラマが展開される。


そして、ドラマが押し詰まって頃、警部補が重要な証言を得た時、私たちは気づくのだ。「あれっ!?あの人も似てるよね?」っと。さり気なく確認した足のサイズ…


でも、まさか、そんな結末は悲しすぎるだろうと思いながら、最終話を。


とうとう、その悲しい結末を映像で見ることになる。その犯行動機はあまりに唐突だ。


1つの事件で全8話という長い設定だから、初めからネタ振りしていたら、サスペンスとしての面白みに欠けるのかも知れないが、そんな様子は微塵も感じられなかったことが動機になったのだ。唐突すぎる。


最初から普通に登場人物の中に存在していた犯人。しかし、その動機について、明確でなくても何かしら示唆するものがあった方が良かったのではないか。「えっ!?そうだったの?」っていう結末はなんだか無理矢理感が…


とても、良く出来た脚本で、最終話まで十分に楽しめたのだが、事件解決のその部分だけが、ちょっとね。


それとも、サインは出てたのに私が見逃してたのかな?


主人公の警部補が何度も相棒に言う「いつもと違う様子は無いか」という言葉。


わたし達にも言ってたのかしら?だとしたら、もう1度見返さなければならないよ(゜ロ゜)


ところで、タイトルを変え、アメリカでリメイクされたらしいが、なんと主演の警部補は同じ俳優さんが演じる。同じ言語を喋る地域で、主演俳優が同じままリメイクするって面白いっていうか、アメリカって不思議よねぇ。


アメリカにもブロードチャーチ並みに風光明媚な町があるってことかしら?(笑)そこじゃないかっ(笑)


そして、そして…


最終話でブロードチャーチにもう住めないと言った女刑事と不整脈の治療が必要なため現場を離れると言った警部補が再びブロードチャーチの町を舞台にseason2の撮影に臨んでいるそうだ。


リメイクよりseason2の方が楽しみだ‼


今度は見逃さないぞ。いつもと違うサイン‼


このドラマはお勧めよ〜(^-^)/